RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十篇第五章 反乱と革命のフィナーレ

『move about in a hurry』

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「シャーレっ…!」



反乱軍アドリーと革命軍ティアに此の事実を
伝える事に成功したポアラが駆け戻って来た
のはシャーレとシルヴァが衝突する場所。

其処では覚醒したシャーレの先に此の動乱の
首謀者とも言える裏切り者シルヴァの姿が
在り二人は遣る瀬無い思いで彼を見る。



「ポアラ…状況は?」


「ティアさんとアドリーさんに伝えられた…で、今その二人から撤退の命令が両軍に伝えられてる…。だけど…アンタ…何でこんな事を…?仲間なんでしょ?革命軍のみんなはっ!!」



其の遣る瀬無い想いが言葉となってポアラの
口からシルヴァへとぶつけられるとシルヴァ
は表情を変えずにポアラを見遣る。



「なんとか言いなさいよっ!?仲間を危険に晒してまで護りたい貴方の正義って何よっ!?」


「解らぬか…?我は影…元より革命軍は潜伏先でしか無い…仲間等では無いのだ…!」



投げ掛けられたシルヴァの言葉を聞いて強い
ショックを受けるポアラだったが其の会話の
中の違和感にシャーレが気付く。



「いや…嘘をつくな。戦っている最中に君の言葉に此れだけの力が込もる事は無かった…思う所があるのだろう?違うか…?」



シャーレの言葉に黙り込むシルヴァを二人は
必死に真っ直ぐな瞳を向けている。



「嘘か真か…其れは各々の受け取り手に託すとしよう…我は…影…何人たりとも其の影の深淵に触れる事等…出来はしない…」



シルヴァはそう言うと立ち上がりシャーレと
ポアラの姿を不思議と目に焼き付けるかの様
に眺める姿を見せた後此の場を異様な速度で
離脱して行ってしまった。



「逃げられてしまったか…」


「とりあえず次はロードと合流しようっ…ロードだって政府の戦力の前を素通りできる保証はないしっ!」



ポアラの判断は正しかった。

裏帝軍に其の存在が嗅ぎ付けられてしまった
時点でロードも何らかの理由で追われる身と
なっている可能性は高い。

其の言葉を聞いたシャーレもまたポアラの目
と自身の目を合わせた後に頷いて見せる。

そして、今度はロード達と別れた場所へと足
を早めて地面を蹴り上げて行った。

戦場の慌ただしさは異常だった。

内通者の存在、つまりはシルヴァが裏切り者
であった事が知れ渡った事で両軍に大きな
動揺を見えた事を察するのは簡単だった。

此の戦いに全てを賭けていた者達は此の報せ
に悔しさを噛み締めて撤退する者も多い。

正常な感情でいれた者等、ほぼ居なかった事
も自明であった事を感じさせる。

先ずは帝国軍の乱入者達に仲間を奪われない
為に反乱軍と革命軍の幹部達はレアドキルナ
の舞台を駆け降りて行く。

戦場レアドキルナに奏でられていた最終曲と
なるフィナーレの音は緩やかに終わりの時を
迎えて行く事となる。

しかし、哀しき現実が其処には在る。

フィナーレには最後の音が誰しもが想定すら
出来ない中で残っているのだった。
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