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第十篇第四章 反乱と革命のフェローチェ
金獅子エルヴィスvs天馬ロイ
しおりを挟む更に迫った臙脂色の電光をも紙一重で見切り
触れずに躱し続けるエルヴィスの姿にロイは
流石だ、と感嘆の表情を浮かべる。
「もしかして、アンタの得意特性も同じだったりすんのか?全く捌きに来ないってのはよ…!」
「特性“貫通”だろ?迅雷のギフトを授かったなら一番にケアしなきゃいけねぇ特性だ…だろ?ロイ・バーナード!」
「其の通りだよ…たくっ…完全無欠かよ…アンタも…!」
言葉の締めと共にエルヴィスが振り切った刀
から放たれた黄金の雷の斬撃にも勿論の事の
様に特性“貫通”が付与されている。
此の一撃はガード不可。
防ぎに行っても雷の衝波は其れを貫く。
正しく無敵の一撃というワケだ。
互いの攻防が続く中でロイは此の一進一退の
状況を切り抜けるべく大技を準備する。
得意特性では無い為、他のギフト授与者の
レベルには到達しないが迅雷のギフトには
“蓄電”という特性もあり今から放つ其の大技
の為に身体にエネルギーを溜めて行く。
そして、準備が整ったと判断したのだろう。
ロイは目を見開き自身の持つ最高位の大技を
放とうとエルヴィスを見据えた。
「絶技… 天麗御雷……ッ!」
天空に向けて突き上げたロイの刀の先端に
轟々と臙脂色の落雷が落ちる。
刀の先端を避雷針代わりにして其の落雷を刀
に堰き止めると高密度の雷を有して背中の翼
をはためかせ低空を飛行し始める。
そして、身体を半身だけ捻る様に動かした
ロイはエルヴィスに向けて鋒を突き出した。
「スゲェじゃねぇか。でもよ?俺の戦いは何があっても……此処じゃ終われねぇんだよッッ!!!」
迸る臙脂色の雷を纏う一閃を見切るとロイの
脇腹を斬り裂くかの如くすれ違い様に二本の
刀を並行に並べて振り払ったエルヴィス。
一瞬の静寂の末に動きを止めた両者が変化が
見られたのは其の直後だった。
黄金の稲妻がロイの身体を呑み込んで行く。
エルヴィスの一撃がロイを凌駕したのだ。
全身を痺れさせたロイは派手に口から吐血を
すると稲妻に斬り裂かれた身体から緩りと力
が抜けて行くのを感じて地面に臥した。
エルヴィスは振り返らずに二本の刀を腰元の
鞘に緩りと納刀すると静かに流れていた風を
正面から浴びて岩盤の高台を見上げる。
そして、一言だけ口を開いて呟く。
「行ってくるよ…姉ちゃん…!」
エルヴィスの口から溢れた言葉は記憶の中で
微笑む今は亡き姉レイナへ向けた覚悟が示す
決意の一言であった。
独立師団革命軍幹部ロイ・バーナードは護国
の志を掲げて前へと突き進むエルヴィスの前
に敗れ去った。
そして、エルヴィスは高台へと緩りと足を
進めて其の道を進んで行く。
エルヴィスは知っている。
此の先に決着の舞台がある事をー。
奏で続けた反乱と革命の楽章に刻まれる最期
の音色を響かせるべく最終決戦へーーーー。
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