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第十篇第四章 反乱と革命のフェローチェ
崩れ落ちた信仰心
しおりを挟む燃え盛る炎の中で崩れ落ちて行く寺院の柱は
荘厳に聳えていたあの姿から只の木屑へと時
を遡らせるかの様に無惨に地に沈む。
消化作業が済み、黒く焼け焦げた寺院の成れ
の果てが転がる大地でゼロは呆然と其の地に
足を踏み入れ重心の崩れた足取りでトボトボ
と視線を移ろわせながら歩く。
そして、焼け焦げた柱を徐に退かすと其の場
に膝から崩れ落ちたゼロは視界に映る子供達
の物と思われる白骨を手で掬う。
そして、自我を失ったかの様に其の白骨を手
で土に塗れながら掻き集めると大粒の涙を瞳
から溢れさせながら蹲った。
『ああ…神よ…信仰は人を救うと…仰ったではありません…か…何故…此の様な…。うぐっ…余りにも…無慈悲…此の子達に何の罪があったというのだ…ッ…ッ…!!』
ゼロは引き裂かれそうな胸の痛みに脳を焼き
焦がされる様な悲痛な叫びを上げ心身を共に
壊されて行ってしまった。
罪無き者さえも力が無ければ此の戦乱の世を
生き抜く事は出来はしない。
そう、知らされてしまったゼロは破戒僧と
なり新たな民を救う道標を探している。
其れが護国師団反乱軍幹部ゼロという男が
辿って来た哀しき過去の道であり新たな道標
を求めて袖を通したのが漆黒の団服だった。
「民が安らかに生き、そして眠りに付ける世…此れこそ我が求める平和。エルヴィスは其の世の為に護国の旗を掲げ…踠き苦しんでいる…辛さを知った男が描く平和こそ本当の平和…即ち是であると知った…」
ゼロは自身の過去をなぞり終えエルヴィスへ
向けた想いを語ると共に両手の甲を守り一撃
を強化する事が出来る武器、鉄甲を嵌めると
手拭いを強く巻き直しノアを睨み付ける。
「独立師団革命軍総長ノア・クオンタム…貴公の背負う物の重さも相当だと察するが…我々は貴公等、革命軍との戦いの中、平行を保って来た天秤を傾けに来た…武器を抜け…いざ尋常に…勝負と行こう」
ゼロが拳を構え放った言葉に呼応したノアは
腰元の鞘から白銀の刀身をした自身の愛刀を
緩りと抜刀する。
すると、ゼロの身体が紫黒色(紫がかった黒)
の波動と業火のギフトを解き放つ。
「業火覚醒…“ 崩磊師拳”……!!」
ゼロが覚醒の扉を開ける。
身体と顔がジャガーをモチーフとした斑模様
へと変化し身体には更に溶岩の様にゴツゴツ
とした岩肌が肩や肘、膝、腰等所々に発現し
拳の鉄甲が更に大きく肥大化し同じく溶岩の
様なナックルフィストへ姿を変えた。
「護国師団ゼロ・アンダーブレイズ…。お前は神に失望し今の世を恨む…だが俺は…恨みや悔いでは大願の成就は叶わぬと考える…其の憎しみを止めるとは大口は叩けぬのでな…チカラで推し通る…!」
ノアの刀に白銀の疾風のギフトが纏われ其の
場の空気に陣風を吹かせて行く。
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