RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十篇第四章 反乱と革命のフェローチェ

破戒僧となった男

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レアドキルナの戦いも最終局面を迎えつつ
ある中で大きな高台の麓で二人の男がまた
新たな邂逅を遂げていた。



「革命軍総長ノア・クオンタムか…一つ問いたい…貴公にとって革命とは何だ…?」


「お前は…反乱軍幹部…ゼロ・アンダーブレイズ…其れを私に問いて…どうするのだ?」


「特に何も…戦いという危うき導火線に着火をしてでも成し遂げたい革命という物に興味があるだけだ…」


「俺達にとっての革命とは…戦い其の物を無くした未来を勝ち取る事だ…」


「成る程…今では無く…先を見据えてという訳か…」



革命軍総長ノアの前に立ち塞がったのは
反乱軍幹部ゼロ・アンダーブレイズだった。

ゼロはノアの言葉に表面上は納得した様な
表情を見せつつも拭い去れない過去を想起し
戦いを恨む様な瞳を見せる。



「お前は戦い、其の物を憎んでいる様に見える…だが何故、そんなお前が反乱軍の幹部となり此の戦場に立つ?」



ゼロはノアの問い掛けに無言を貫く。

其の姿を見たノアはもう一つ問い掛けを重ね
ゼロに向けて言い放った。



「其れに…お前は僧侶だったとも聞く。徳を高く積み、信仰を説き、平穏なる刻の流れに祈る事を続けて来たのだろう?反乱軍の志を侮辱するつもりは無いが…お前の行動は僧侶としては反していると感じる…」



ノアの言葉にゼロの身体が怒りを抑え込むか
の様に震え始めると唇を噛み下唇からじわり
と血が流れて行くのが見えた。



「我は知った…信仰等では人の命は救えぬと…罪無き人々を神は救ってはくれぬと…」



ゼロの言葉にノアを耳を傾ける。

ゼロは生まれ故郷に祀られていた神を崇める
宗教家の集う村落に産まれた。

己を自制し、神を崇め、信仰を続け僧侶と
なった事もゼロは後悔等していなかった。

村落の長から度々耳にした言葉として信仰心
を持って神を崇めれば誰しもが平穏な日々を
送り其の人生を全うした者には死後も神から
の加護を受けて極楽浄土へと旅立てるという
教えがあったのだ。

若かりし頃のゼロは其の教えを信じ全うする
事こそ産まれて来た自身の使命だと悟る。

しかし、其の神を侮蔑したとしても信仰心を
失う程の出来事が彼には待っていた。

ゼロの生まれ故郷にして育った寺院が政府の
手で焼き討ちにあってしまったのだ。

偶々、買い出しに出掛けていたゼロは無事に
済んだが其の時、寺院には大勢の子供達の姿
がゼロの帰りを待っていた。

理由は簡単だった。

鎖国制定から何年も掛けて異国の文化を孕む
物が政府に依って消されて来た。

元々、其の寺院に祀られていた神は異国から
伝承がされた物では無いかと過去の文献等で
政府は水面下での調査を何年も進めていた。

其の答えが、出たのが十二年前だった。

ゼロは今でも忘れる事が出来ない。

白昼堂々、焼き討ちに合い崩れ落ちた寺院も
焼失遺体として発見された子供達の姿も。
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