RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十篇第一章 反乱と革命のリゾルート

畳み掛ける水流の渦

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「あっ…アフロマンっ…やーっとやる気になってくれたのっ?」


「なるワケぁねぇだろうがよッ…お前さんみたいな…嬢ちゃんと戦うのはまっぴら御免だぜ…!」


「もうっ、その見た目で意気地無しなワケっ?だったら…手加減しないよっ!!」



痺れを切らしたリズが岩盤から跳び降りると
左手の手のひらから紺青色の水流の渦を発生
させ其れをウォッカに向けて放つ。

リズが授かったのは流水のギフトであった。

ウォッカは慌てて其の渦を回避するのだが
御立腹のリズは右手でも渦を発生させ何発も
何発もウォッカ目掛けて放って来る。



「全く容赦ねぇなぁ…ウチの娘とはぁ…大違いだぜ…ったくよォ!」


「あったりまえじゃんっ…リズのパパがこんなアフロヘアだったら困るもんっ!」


「アフロは俺っちのトレードマークにして誇りだっつーのっ!いくら嬢ちゃんでもアフロをバカにするってぇならァ…って…どわぁぁぁぁぁぁっ!!!!」



言葉の途中だったのだが、想像の二倍は在る
紺青色の水流の渦がウォッカに迫って来た為
に足と手の先をピンっと張りながらウォッカ
は何とか飛んで回避した。



「あははっ…なーんかっアフロマンってば…おもしろーいっ!」



天真爛漫さも持ち合わせるリズはウォッカの
今の動きに手をパンパンと叩きながら満面の
笑みを浮かべているとウォッカは額に自身の
手を当てて首を横に振る。



「まいった…どう考えても…あの嬢ちゃんを叩きのめすってのァ…選択肢にねぇし…詰んだか…?俺っちの人生…」



ウォッカは静かに溜息をついているとやはり
眼前で笑うリズに幼かった頃の娘の姿が簡単
にリンクしてしまう。

そんな中、ウォッカは常に首からぶら下げて
いるペンダントを開き中の写真に目を落とす
と其処には仲睦まじく映る娘と妻と自身の姿
の写真が収められていた。



「(…済まんなァ…お前等…どうも俺っちにはこの嬢ちゃんと戦うのは無理そうだ…ロックに生きて…世界へ飛び出し…お前等の夢…叶えてやりたかったんだぜェ…?不甲斐ねぇ…父親のまんまだなァ…結局よォ…)」



ウォッカは後悔と自責の念に潰されそうに
なりながら突如として訪れた人生の終わりを
ヒシヒシと感じてしまっていた。

家族とはもう会う事は勿論出来ない。

だからこそ不甲斐ない父親と自身の事をそう
呼ぶのは極道としてのシノギが忙しく家族と
過ごす時間を取れなかったから。

家族に何もしてあげれなかったと嘆くのだ。

だが、一つ。

訂正を挟まなければいけない部分が有る。

ウォッカ本人は此れから先も知る事は無いし
知ろうとする術も無いが真実のお話。

妻も娘も自分達の為に日々、仕事で駆け回る
父ウォッカを誇りに思い心の底から大好きと
いう感情を持っていた事。

時間が取れず伝えられずに居たのはウォッカ
だけでは無く妻も娘も変わらなかったのだ。
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