RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十篇第一章 反乱と革命のリゾルート

重なる娘の姿

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一度エゼルとルナの場所から場面は変わる。

大きな岩盤の上に腰を下ろして足をバタバタ
とさせながら眼下の大男に向かって苛立ちを
隠さずに大きく頬を膨らませる女性が居た。



「ねぇねぇっ…アフロマンっ…抵抗しなきゃ負けちゃうっていうのが大人なのにわかんないワケっ?」



岩盤の上に座り込んで居たのは反乱軍幹部の
リズ・ミックホームであり彼女は相手の事を
渾名で呼ぶのが癖なのだが其のリズから此の
“アフロマン”という渾名で呼ばれている男の
想像は簡単に付いてしまうだろう。



「こいつァ…あんまり望まねぇマッチアップだぜぇ…流石の俺っちも…戦えねぇわな…いや戦っちまったらロックは卒業だろォよ…」



流れる汗を拭いながら片膝を付いていたのは
革命軍幹部ウォッカ・スパーナ。

どうやら眼前のリズとは戦いにくい理由が
在るらしく反撃をして来ないウォッカに対し
リズはかなり御立腹らしい。

エゼルvsルナと経緯は違えど同じ様な状況に
追い込まれたウォッカはリズを見て違う女性
の姿を重ねてしまっていたのだ。



「(あの…深い青色の髪…亡くなった妻も…あんな色だったわなァ…産まれた一人娘も…妻の遺伝子を強く継いだ…生きてりゃあ…この子ぐらいの歳だったろう…)」



ウォッカは心の中でそう、呟いた。

解ってはいるのだ。

眼前の女性リズが自分の娘では無い事ぐらい
敢えて言わずとも全て理解している。

だが、どうも影が重なって見えてしまう。

もう直ぐ、娘の命日も近いからだろうか。

ウォッカはプレジアでも有名な二大極道組織
の内の一つ、犀騒一家の総長であった。

若くして妻と結ばれ、一人娘も授かった。

だが、極道の家族は時として言われも無い罪
を背負わされ窮屈に生きる道を進まされる。

だからこそ、ウォッカは妻が死に娘が死んで
二人の墓の前で何度も何度も終わりはしない
懺悔を繰り返す日々を続けている。



「(妻にも娘にも…あの頃の俺っちはどう思われてたんだろうなぁ…鎖国政策の徹底振りに…地下に追いやられても続けて来たシノギも減り続けてよォ…苦しい生活を…送らせちまってたなぁ…)」



だからこそシノギの関係から手元にあった
海外の写真や世界の地図を見て子供だった
娘と妻が話していたのが耳に残っていた。



“世界を自由に見て回れたら良いのに”



二人の死とノアとの出逢い、此れが重なった
事はウォッカにとっての運命だった。

ウォッカ自身は世界を見て回りたいという
大きな野望など実はカケラも無い。

だが罪滅ぼしという名目を掲げて開国を志す
一団へと加入したからには彼にも意地が在る
のは疑いようも無い事実だった。



「とは言っても…コイツぁ…紛れも無ぇ大ピンチだなぁ…コレもロックな試練かよ…!」



緩りと立ち上がるとウォッカは岩盤の頂上に
座り込むリズを見上げていた。
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