RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九編第四章 此の国の護り神

危急存亡の報

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次なる進路は雷の街ヴォルテーク。

ロード達がそう腹を括ったタイミングで背後
に居た死蜘蛛狂天三大幹部の一人ディルが
部下からの無線での報告に意味深な笑い声を
上げると全員が其方に視線を向ける。



「……そうか…フフフ…時代の荒波は…更に苛烈に…正に危急存亡…互いに…背水の陣という所か…面白い…!」



不敵に笑ったディルを見て首を傾げたロード
が其の内容を知りたいと問い掛ける。



「……急に何だよ…アンタ…」


「フフフ…大事件だ…」


「大事件…ッ?」


「此の活火山を西に越えた先に在る鋼の街レアメタリクスに於いて…数分前に全幹部達が集い…反乱軍と革命軍の全面戦争が始まった様だ…」



其の言葉にロード達は息を呑み唖然とした
表情を浮かべて凍り付いた様に固まる。



「……んでっ…なんでなんだッ!?アイツ等…憎しみあうような仲じゃねぇ…殺し合うような仲じゃねぇんだッ…!」


「まさか…先日の会談の結果が全面戦争の背中を押した形になってしまったのか…?」


「そんなっ…しかも全面戦争って…決着を付ける気満々なんじゃないのっ…?」



ロード達の表情から血の気が引いて行く。

彼等は反乱軍と革命軍のルーツとなった幹部
やトップ同士の元の関係性を知っている。

何故、戦わねばならないのか。

何故、抜いた刀を、鞘に納める事が出来ない
状況になってしまったのかを考えて行く度に
胸の奥の奥がキリキリと痛め付けられる。

だからこそ、ロードの発した言葉はシャーレ
そして、ポアラにも意図から全て伝わる。



「……なあ、ガルフさん…雷の街へは必ず向かう…俺に少し時間をくれねぇか…?」


「…行くのか…?両軍が集う戦地へ…」


「結局は…アイツ等自身が答えを出さなきゃいけねぇってのはわかる…けどよ…繋がってきたモンがどっちにもあんだよ…俺自身の秘密ってのも気にはなっけど…今なんもしねぇで…アイツ等が最悪をたどっていっちまったら…ぜってぇ、明日の俺は今日の俺を許せねぇと思う…!」



ロードの言葉にシャーレとポアラも彼の背中
に立って力強く同意を込めて頷いて見せた。



「…しゃらくせぇ…まだまだ青いな…だが、嫌いじゃねぇ…儂は片して行かなきゃなんないモンがある…同行は出来んぞ…?」


「…フフフ…信用はされていないだろうから…私が離れて付いて行こう…なに…ピンチにならなければ顔を出す事も無い…其れに…常に共にいたら…質問責めに合うのは間違い無さそうだ…」


「ディル…アンタ…ホントに俺を護ろうとしてくれてんのか…?」


「そんな事よりも…もう全面戦争は始まっている…急ぐ事だな…」



次なる進路は急速に転換される。

自身のルーツを知る為に向かう筈であった
雷の街ヴォルテークではなく反乱軍と革命軍
の全面戦争が始まった鋼の街レアメタリクス
へロード達は、必要不可欠な寄り道を行う。
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