RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九編第四章 此の国の護り神

運命の招待状

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「然て…やっと、しゃらくせぇモンが全部終わったな…お前等も…もういいだろ?」


「フフフ…今回はロードを立てさせて貰おう…」


「という訳だ…ロード、シャーレ、ポアラ…お前等を連れて行きたい場所が在る…」



戦いを終えたロード達の元にガルフが緩りと
近寄るとずっと途切れていた話が巻き戻る。

思い返せばロードを仲間と合流させる為に彼
を助けたガルフだったが着替えの時間を取り
ロードの実家へと戻っていた。

其の後は知っての通り、刺客達の応酬。

本題からはずっと逸れてしまっていた。



「お前等と行動を共にしていたバルモアの姫君達は今日中には其処に到達するそうだ…お前等三人にも其処へ来て貰う…」


「どこだ?そこ…」


「あ?…雷の街ヴォルテークの…あのー…アレだ…えむ…ん?ぇぇっと…ちょっと待て…」



ロード達三人は無言で思い悩むガルフの姿を
ただただ見つめるだけの時間が過ぎる。



「……しゃらくせぇ…長ぇんだよ…アイツが持ってるビルの名前は…もういい。忘れた…」



投げやりに唇を尖らせたガルフの言葉を聞き
ロード達三人は盛大にズッコケてしまう。

此処迄、完璧で格好良すぎたガルフにも此の
様な茶目っ気のある部分があるのかとコケて
いた三人は頬を赤らめながら笑っていた。



「…とまあ…こんな時の為に…メモを預かって来てる…」


「いや、ハナっからそれを出せよッ!!」



ガルフの隠し持っていたコントの様なオチに
ロードは居ても立っても居られずツッコむ。

そして、ガルフは続ける。

雷の街ヴォルテークの本町に存在するビル群
の立ち並ぶ経済発展の進んだ地域の中央区に
悠然と立つ雷の街最高峰の高層ビル。

名をM・S・システムズ本社ビル。

此処は其の名の通りM・S・システムズと
いう名の電子機器を開発、販売する新時代を
行くプレジア最高のカンパニーが所有する
超高層の本社ビルである。

其処の最上階に於いて厳重な情報規制の下で
ロード達を招き入れる事を許可したガルフと
繋がりのあるM・S・システムズ社のトップ
である代表取締役の男である。

其の代表取締役が場を設けロード達を招いて
在る重大な話を打ち明ける事が目的らしい。

そして、其の発起人の名が明かされる。



「ロード…お前を招いたのは他でも無い…お前も良く知る…あの男…ランスだ」


「…ッ…ランス…が?」



ロードは表情を固めて其の事実を受け止める
と「まだ話す時では無い」と煙に巻かれた砂
の街での一件を思い起こし、まさかと期待を
持ってガルフの言葉を待つ。



「ランスからは一言だけ…伝言を預かっている…『待たせて悪かった…時は満ちてしまった…全てを明かそう…』とな…」



未だ残るロードのルーツの全て。

其れが雷の街ヴォルテークに於いて仲間達も
同席の上でランスの口から明かされる。

其れはランスにとっても退路を断ったという
事にも聞こえる様な招待状であった。

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