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第九編第四章 此の国の護り神
死闘の決着
しおりを挟む「やったか…?」
地上に降り立ったロードは覚醒を緩りと解き
ながら荒れた息を平常へと戻す為に深呼吸を
繰り返しながら自身の絶技が巻き起こした目
に映った爆煙へと視線を送る。
未だグレイの姿は見えないままの煙の中へと
裏帝軍の幹部達が血相を変えて飛び込む。
そんな中、ロードの背後から二人の男女が声
を高らかに上げながら近寄って来た。
「すっごいじゃんっ、ロードっ!なにアレ…ちょっとカッコ良すぎるんじゃないのっ?」
「いてぇいてぇって…ポアラッ!!」
興奮が隠し切れぬ様に頬を染め上げたポアラ
に何度も頭をペシペシと叩かれていたロード
は歓喜よりも痛みに負けていた。
そして、其の横から肩を優しくポンと叩いた
シャーレがロードの顔を覗き込む。
「やったな…ロード」
「おう…!なんかよ…色々吹っ切れた…まだまだ自分でも自分の事がわかってねぇから…この先も悩むかもしんねぇ…でも…そん時はまた頼むよ…オメェ等…!」
ロードが溢した言葉にシャーレとポアラは
互いに顔を見合わせほのぼのとした笑顔を
浮かべると同じタイミングでロードの方向
へと向き直り力強く揃って親指を立てた。
「「もちろんっ!!」」
三人が笑顔で会話を続けていた其の姿を遠目
に見ながらガルフも口元に笑みを浮かべる。
そうこうしている内に搔き消え始めた煙の中
から多量の出血を負ったグレイが裏帝軍幹部
のスネイクとアノンに肩を持たれて姿を現し
ロードに向かってニヤリと笑みを浮かべた。
「やるじゃねぇかよ…目醒めて直ぐに此の威力…ッ…ホントなら…今から俺の覚醒とどっちが強ェのか…白黒付けてやりてぇ所だが…だいぶ食らっちまったしな…次は…最初から本気で相手してやるッ…!」
真顔の印象が強かったグレイが見せ始めた
其の不敵な笑みの正体とはロードに感じた
興味の証であった。
裏帝軍軍団長グレイ・ギルノーブル。
誰よりも強者に興味を持ち、弱者にカケラ程
の興味を持たないという戦闘狂が彼の姿。
其の興味の枠に入り込んだロードはグレイと
の激突を終えて、乗り越えた今でも背筋が
凍る程の恐怖心をグレイからは感じた。
其れだけグレイという男の底は知れない。
「まあ…コイツ等が止めやがらなかったら今直ぐにでもテメェの喉元掻っ切りに行く所だがな…面倒くせぇのもいやがるし…テメェとの決着はお預けだ…ッ!」
グレイはロードへ言葉を放ちながら後方に
立っていたディルとガルフへと一瞥をくれて
再びロードへと視線を戻した。
「次やる時は…もっとこのチカラ…使いこなせるようになっといてやるよ…イレズミ野郎ッ…!」
ロードの言葉を聞き終えると裏帝軍軍団長の
グレイと共に裏帝軍の幹部達は此の活火山の
黒道から撤退を始めて行った。
勿論、追撃する者も、其れを止める者も此の
場には誰一人として居ない。
活火山ポルナダベトルの戦いに幕が下りた。
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