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第九編第四章 此の国の護り神
舞い上がる真紅の翼
しおりを挟む「でもな…“仲間”に“ライバル”…そして…“友達”が出来た…こんな事口にした事もねぇけど…“好きな人”も出来たんだ…」
ロードの言葉にグレイは首を傾げ訝しむ様な
目でフラつきを抑えて背中に手を伸ばす眼前
のロードに目を向ける。
「テメェの言った通り…俺は弱ェ…でもな?人間…弱かろうが強かろうが…選べる道なんて二つしかねぇんだ…!」
ロードはグッと力を込めた手のひらで背中に
据えた刀の柄を握り締める。
「其の選択にだけ…人間誰しも平等なモンがある…選べんのは…“その場で泣いて立ち止まるか”…“一歩でも前に進むか”だけなんだァッ…!!!!」
ロードは声を張り上げて背中の刀に想いを
込めて抜刀すると身体から真紅の炎が自身の
想像を遥かに凌駕する程に溢れ出でる。
「俺は…泣いて立ち止まる事なんか選ばねぇ…!どんなに傷付いてどんなに泣き倒したって…前に進んでやるッ…大切な連中を俺のこの手で護る為にッ!!!!」
ロードの魂の叫びが真紅の炎から奇跡の鳴動
と共に炎の翼をはためかせた炎鳥を天空へと
導く様に舞い上がらせる。
其の真紅の炎鳥は一瞬にして紺碧の火柱に
因って形成されたドームを霧散させ活火山の
上空を煌びやかな炎の翼をはためかせ舞う。
炎鳥の出現と動向に気を取られたグレイは
眼前に居た筈のロードの姿を見失った。
そして、紺碧の火柱のドームを霧散させ突破
した事で活火山ポルナダベトルに集結をした
人間達全てに其の炎鳥の姿が映し出される。
「あの鳥は…?何だ…?」
「シャーレッ!シャーレってば…わかんないのッ!?あの炎の色を見てよっ!!」
「真紅の炎…!」
シャーレとポアラが其の炎鳥の羽ばたきに目
を奪われながら段々と笑顔を零して行く。
「フフフ…まさか…生きている内に拝めるとは…ロード…君は…“鳳凰”のチカラを目覚めさせたのか…!」
ディルが上空を舞う炎鳥を見上げて笑みを
浮かべるが何処か不敵に笑うイメージのある
ディルからすれば穏やかな笑みであった。
「オイ…“リア”よ…見ろ…お前が待っていた…此の国の守護神が…遂にまた其の姿を見せてくれたぞ…!」
意味深に呟いたガルフの言葉の締めと共に
上空で舞う炎鳥が自身の身体全てを其の炎の
翼で覆い込む様に球体と化して行く。
そして、次の瞬間だった。
更なる真紅の炎が炎鳥の姿を飲み込み派手な
大爆発を巻き起こすと全員の視線を集めた中
其の炎が上空で掻き消えて行く。
其処には一人の赤髪の姿があった。
だが、其の背には先程まで上空を舞っていた
炎鳥“鳳凰”の翼が悠々と広げられている。
そして、上半身に纏われた長い真紅の着物の
裾が消えない炎となって燃え盛る。
そして、刀身だけでなく柄も唾も全てが更に
燃え盛る鮮やかな真紅に染まった刀を赤髪の
男は眼下のグレイに突き付けた。
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