RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九篇第三章 ポルナダベトルの戦い

混沌の再来

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覚醒を果たしたポアラが背の羽をはためかせ
更に上空で舞うソフィア目掛けて飛ぶ。

其の動きに合わせてソフィアも臨戦体勢と
ばかりにほんの少し滑空し双剣小太刀を構え
二刀一閃、背中側から真下へと振り下ろす。

其の攻撃が自身へと直撃するであろう位置の
中央に冷静に息を吐いたポアラは振り被った
エメラルドの拳をぶつける様に振り切った。

白銅色の波動と翠色の波動が唸りを上げて
活火山ポルナダベトルの上空で轟音を奏でて
周囲の空気が強く揺れ動く。

エメラルドの拳と双剣小太刀が互いが互いを
押し込む様に一歩も退けない互角のぶつかり
合いを披露していた。

そして遂には互いにチカラを出し切り合った
のかぶつかり合いは終わりを迎え両者共に背
の方向へと飛ばされるがポアラとソフィアの
二人は何とか翼と羽を用いて空中で体勢を
立て直し、また其の瞳を合わせる。



「何故、国から追われる身のガルフに味方をするの…?貴女達は…」


「そんなの簡単だよっ。ロードを助けてくれた恩人だからっ…」



其のポアラの言葉を聞いたソフィアは静かに
一度翼を仕舞うかの様に地上へと降り行く。

ポアラもソフィアの動きに合わせてトンっと
自身の足を地面に降り立たせた。



「単純明快…だとしたら何を宣おうとも無駄ね…私達の目的は相反してる…何方が死んでも恨みっこ無しだわ…!」


「アタシはアナタの命なんていらないしっ…アタシ自身も死んでたまるかって想いしかないんだけどねっ…!」


「甘いわね…でもやるしかないの…私は此の組織で成さねばならない事がある…!」



ソフィアが自身の双剣小太刀を握り直して
眼前のポアラ目掛けて間合いを詰めようと
つま先に力を込めて地面を蹴り上げようと
した其の瞬間だった。

ソフィアの片腕をギュッと握り締めてとある
一人の男性が音も無く其の場に現れた。

其の男の登場に少し離れて戦っていたリゼア
とシャーレ、そして眼前のポアラとロードに
未だ裏帝軍の反撃に備え背を向けた儘だった
ガルフもほんの少し首だけを向ける。





「………フフフ…ソフィア。少し待て…」




フードを深く被った其の男のギリギリ見える
口元は意味深な笑みを浮かべていた。

そして、ロード達も驚きの表情を浮かべる。



「ディル…貴方、どういうつもり…?」



ソフィアの口から其の男の正体が明かされる
とシャーレと戦っていたリゼアも一目散に
二人の位置へと移動を始めた。

其れに合わせてシャーレもロードとポアラと
合流を果たし状況を頭の中で整理し始める。



「どういうつもり…?フフフ…何がだ…?」


「氷の街でのガスタ追跡も貴方は途中で匙を投げた…それも私を無理に止めてまで…今度のガルフの件もそうするつもり…?」



ソフィアはディルの腕を振り払い覚醒を一度
解くのを見てリゼアも行動を共にして二人で
ディルを睨み付ける様に見遣った。



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