RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九篇第三章 ポルナダベトルの戦い

乱戦の予感

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「お前…本当にギフトの授与者か…?此の気配がわかんねぇとは…」


「気配…??なんの…?」


「呆れた…そういう細かいコントロールはやはり…性格的な物なのかもしれないな…」


「あははっ…ロードにだって得意分野はあるもんねぇ?」


「だーかーらッ!!ガキ扱いしてねぇで教えろってのッ!!」



声を張り上げたロードだったが誰かから其の
気配の答えを聞く前に正体は目の前へと静か
に迫っていたのだった。



「漸く現れたな…元帝国軍大将ガルフ・ジャッククォーツ…アンタのお仲間からは前回逃げられちまったけど…今回は御縄に付いて貰おうか…ッ!?」



ロード達が向かっていた道程から見れば丁度
真横から細長い体格のガッシリとした長髪の
男が重そうな大剣を片手に軽々と振り上げて
ガルフの頭上から一気に振り下ろす。



「…しゃらくせぇな…本当によ…」



ガルフは直ぐ様、反応をすると腰元の鞘から
刀を抜刀して其の大剣を簡単に弾く。

弾かれた其の長髪の男は背後へと軽く流され
吹き飛ぶが体勢を立て直し足と膝で着地して
不敵な笑みを浮かべる。



「……アイツ…こんなトコにまで出て来やがった…」


「だれっ?アレ…」



ロードは其の長髪の男に見覚えがあった。

だが、シャーレとポアラからすれば見覚えが
無いのは致し方無い相手だったのだ。

政府直下裏帝軍幹部アノン・ヴィルヘルム。

第七篇第一章で登場した裏帝軍の幹部であり
其の後、ガスタと応戦した男である。



「しゃらくせぇ…ガスタにはまんまと逃げられたらしいな…其処らへんがお前の限界なんじゃねぇのか?アノンとやら…」


「ガスタはちゃんと逃げれたんだな…良かった。死ぬワケはねぇだろと思ってたけど…安心したぜ…!」


「今回はあの時の様には行かぬ。せいぜい今の内に喚いておくんだな…ガルフ…そして、渦中に迷い込んだ赤髪の男…!」



アノンは自信は何処から来るのか、そんな事
を思っていた矢先の出来事だった。

ガルフがシャーレやポアラに促した気配の
正体がアノン一人であればあそこまで集中の
高まった表情はしなかったであろう。

其の本当の答えが視界へと入り込む。

アノンの横に瞬時に跳び下りて来た三人の
人間の姿に「やはり」と言った表情を浮かべ
たのはガルフだった。

そして、シャーレは何故か其の方向に背を
向けて後方に目を向けたまま唖然とした表情
を浮かべて固まってしまったのだ。



「…まさか、此処迄とは…!」



シャーレの視線の先に現れたのは瑠璃色の
羽織を纏った坊主の中年男性と若い白髪の
女性の姿、其の瑠璃色の羽織は正に傭兵武族
死蜘蛛狂天の幹部の証。



「こっちも見覚えある女ばっかりなんだけどっ…」



ポアラの視線の先にはアノンと同じく翠色の
マントが揺れ動く四人の姿であった。

其れは政府直下裏帝軍幹部の四人衆。

此処に裏帝軍の幹部四名と死蜘蛛狂天の幹部
二名、計六名が刺客として集った。

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