RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九編第二章 真実の声

衝突する絶技

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「此の儘、塵と成って滅せよ…!」



スネイクの一手目を防ぎ切ったリゼアが首を
引いて頭を突き出すような姿勢で突っ込むと
大地のギフトの特性“重力”でスネイクの足を
地面に向けて重さを掛けて止める。

そして豪快に其の豪胆な角で突進する。

だがスネイクは特性“粘土”でリゼアの足場を
粘着性の高い土に変えて減速を図り鞭の様に
右腕の蛇をしならせてリゼアの角に巻き付け
地面に向けて押し倒そうと圧力を掛ける。



「いやはや…足場を崩されてもそう簡単には倒れませんか…見掛け倒し…そうあってくれれば…どれ程楽を出来たか…というものですね…」



減速仕切って完全に動きを止めたリゼアを目
で確認したスネイクは波動で重力を破り背後
へ高くバックステップを行うとまた川の対岸
へと移動し距離を取った。



「某と正面からやり合う事に恐れ慄いたのであるか…?だとしたら英断である…!」


「ふふ…いやはや…挑発がお上手ですねぇ…ですが、また其れも一興…今回ばかりは其の挑発にお付き合い致しましょう…!」



スネイクがニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

そして、波動とギフトが混ざり合いスネイク
の身体に渦を巻いて纏われて行く。



「絶技…“双蛇朽・毒牙そうじゃきゅう・どくきば”ッッ!!」



スネイクの声に呼応してリゼアの足場が更に
広くそして更に粘りを持って沈み行く。

左右に旋回したコブラと蛇が睨みを効かせて
舌を伸ばすと波動とギフトが流し込まれより
強化された二匹がリゼアへ襲い掛かる。



「此れは…そう簡単には抜けぬであるな…。であるならば…此方は正面から滅しに掛かるまで…!」



絶技はギフト戦術の最終奥義。

だからこそリゼアの足場に用いられた特性
“粘土”のフィールドは抜けるのは容易では
無い事をリゼアは直ぐ様理解に至る。

だが、目には目を、歯には歯を。

絶技には絶技を、此れが唯一の抜け道と知り
リゼアも両手の鉞を左右の真横に構え豪胆な
角をまたしても前方へ突き出す。



「絶技…“竜振衝突角りゅうしんしょうとつかく”ゥゥ!!」



リゼアは前方に在る地面、大気、川の流れと
スネイクに対して圧倒的な振動を掛ける。

そして流れ出た波動のチカラを持って最初は
緩り緩りとだったが段々と粘土の大地ですら
加速して一気に川の対岸から迫り来る前方の
スネイクの蛇とコブラ目掛けて突進した。

そして、両者圧倒的なチカラのぶつかり合い
が大気に振動とは別の何かが重なり合ったか
の様に其の場一帯に轟音を奏でて拡がる。

朽葉色と黄蘗色の二色の大地のギフト、其れ
もギフト戦術最終奥義、絶技同士の衝突から
生まれ出でる圧は予想の斜め上を行くド派手
なぶつかり合いとなる。

互いの一撃がぶつかり合い両者共に膝を付き
荒れた息で睨みを効かせ合う姿が見えた。
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