RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九編第二章 真実の声

刀鍛治の集う里

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ロードはガルフの先導で一度ポルナダベトル
の麓へと駆けて行く事になった。

そして、小一時間程の時間を要して到着した
のは藁仕立ての三角屋根が立ち並ぶとある里
であり其処には甲高い金属音が重奏の様に音
を立てて奏でられていた。

此処は火の街メルフレアの活火山の麓の里。

“グラセ・カラステ”という名のプレジアの
誇る伝統が由緒在る形で伝承される里だ。

其の伝統とは刀鍛治である。

何も言葉を発さないままに里の中を闊歩する
ガルフの後を追って暑い日差しにほんの少し
汗を滲ませながらロードは其の背を追う。

すると、ガルフは一軒の小屋の戸を叩く。

そして其の小屋の戸を開き中へと入って行く
と真っ白な髭を蓄えた老人が目を丸くする姿
がロードの視界にも入って来た。



「おやまあ…懐かしいツラじゃの…」


「ご無沙汰してます…ちょいと仕事を頼みたくてお邪魔しました…」



あのガルフが背筋を伸ばした後で平身低頭と
頭を下げた姿にビックリしたロードは慌てて
知らない相手だが白髭の老人に向かって自身
も姿勢的にはぐちゃぐちゃなままお辞儀した
が直ぐに顔だけ上げて老人を見遣る。



「まあ…そう固くならんでええぜ。今日は暇じゃけぇの…鍵閉めて其処辺りに座っとけ」


「お気遣い痛み入ります…」



頭を上げたガルフは戸の鍵を締めると真横に
設置されたテーブルの前に置かれた椅子へと
腰を下ろすとロードを見遣る。

ロードもまたバタバタとガルフの横に座る。



「な、なあ…誰なんだ?あの貫禄の爺さんは…」



小声でガルフに尋ねたロードの頭にガルフは
勢い良くゲンコツをお見舞いした。



「あっテェッ!!いきなり何しやがんだ…ニャロウがッ!!」


「しゃらくせぇ…あの方はフェレーロ殿。生きる伝説とも言われてる刀鍛治職人だ…無知も大概にしやがれ…」


「んなこと言われてもよォ…」



ヒリヒリと痛む頭を涙目で撫でながらロード
が口を開いていると奥から其のフェレーロが
緩りと歩みを進めて来た。



「麦茶ぐらいしかねぇぞ…」


「充分過ぎます…フェレーロ殿」



コップに注がれた麦茶を配り終えるとドカッ
と椅子に腰掛けたフェレーロが口を開く。



「……で?刀の打ち直しか?」


「ええ…。お願い出来ますか?」


「見せてみい…ほう。こりゃ漆の黒刀が文句言って来てんぞ…ガルフよ…」


「すいやせん。中々手入れをする時間が取れずにいたもんで…」


「じゃが自画自賛になるが此の刀はやはりワシの最高傑作じゃの…最上大業物として名を馳せる鬼輝夜おにのかぐや…無名の鍛治職人の刀を見事な業物に昇華させた御主の力量の賜物じゃな…」



ガルフから受け取ったフェレーロの最高傑作
最上大業物の一振り鬼輝夜おにのかぐや黒刀乱れ刃を見て
職人フェレーロが笑みを浮かべる。

するとフェレーロは座り込んだロードの背に
担がれたもう一振りの最上大業物に目を付け
ると視線をロードに向けた。

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