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第八篇第四章 許されざる疑念
反乱軍を追う者達
しおりを挟む夕焼けに染まった空の下、反乱軍エルヴィス
とウィルフィンの背を追うのは遅れた状態で
走り始めたロード達だった。
取り敢えずは中将マリアが向かった方向へと
足を急がせ駆けて居たのだが途中から彼等の
足取りを見失ってしまっていた。
「なあ、レザノフさんッ!アイツ等のギフトとか波動とか本当に感じなくなっちまったのかッ?」
「…ええ。先程迄は派手にやり合って居たので解り易かったのですが完全に戦いに終止符が討たれた様で見失いました…」
「はわわわわわっ…お二人共大丈夫でしょうか…?」
「あの二人がそう簡単に負けるとは思えないけど…帝国軍も猛者揃いだもんねっ」
コンクリートの地面を駆けるロード、シグマ
シャーレ、そしてレザノフの横でやはり便利
だと感じるシェリーが空気に閃光のギフトを
付加して創り上げた五芒星の乗り物に乗って
優雅に舞うシェリーとポアラ。
エルヴィスとウィルフィンへ攻め込んで来た
帝国軍の二人が負けた事に依りギフトの残滓
すら感じ取る事が出来なくなったロード達は
取り敢えず真っ直ぐに走る事しか方法が無く
なってしまっていたのだった。
「(はあはあ…覚醒を体得したあの日から思う様に…波動が戻り切らない…やはりあれだけのチカラだ…リスクは相当らしいな…)」
駆けて行く中で初めて覚醒へ至ったシャーレ
は通常のギフトのチカラを引き出す事と覚醒
を使う事とでは次元が違う話だと悟る。
覚醒へと至る事と覚醒を自在に使いこなす事
とではまた話の違う物でもあるらしく実際に
其の事をレザノフには相談済みであった。
すると、レザノフ自身もかつてはそうだった
と言われた事から改めて鍛錬が必要であると
感じたシャーレは新たな覚悟を決める。
其れ以前にアレスから受けた傷もままならぬ
状態で剣術フェスティバルへと参加した事が
そもそもの失敗だったのかもしれない。
「オイ、アイツ等が向かったの本当にコッチで合ってるんやろうなあ?」
「知らねぇよ。だーから困ってんじゃねぇかッ!」
「ハッ…そりゃあアカンな…そのうち、どんつきに突き当たったりするんやないか?」
どんつきとは、主に関西圏で使われる方言で
“行き止まり”という意味らしい。
そして、そんな一言が現実となってしまう。
彼等が辿り着いたのは大きな崖だった。
左右を見渡しても視界には橋の様な物は無く
横幅三十メートルはありそうな崖である。
崖下を覗いた彼等は其の真下で轟々と流れる
流れの早い激流の川を見て崖から離れた。
「ギフトを使えば渡れなくは無いが…」
「わざわざこんなトコ越えたって保証無いよねっ…?」
「はわわわわわっ…見失っちゃったんですかっ?」
「其の様ですね…誰ともすれ違いませんでしたし…」
「あーらら…ホレ見てみぃ…案の定でどんつきやんけ…」
「いらねぇ予言をありがとよ…」
呆れ返る一同は溜息を吐いて輪になった。
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