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第八篇第三章 プレジアの宰相
エルヴィスvsマリア
しおりを挟む「待たせたな。さあ、やろうぜ?」
明らかな余裕を見せるエルヴィスは腰元の鞘
から自身の持つ双剣型最上大業物に名を置く
刀、雷獅子を引き抜いて見せる。
其の姿に不満顔を垂らすのはマリア。
腰元から自身の刀を抜刀すると口を開く。
「随分と余裕を見せるのね。護国師団反乱軍総長としての不遜かしら?」
「そう見えたならすまねぇな。別にそんな感情はねぇよ…ただ、久しぶりなんでな…実戦…ワクワクしてんだよ実際…!」
不敵な笑みを絶やさないエルヴィスに向けて
マリアが先手を打つ様に一歩を踏み出す。
「戦いを…遊び感覚で行おうと言うのが不遜だというのが解らないのッ!?」
蒼色の迅雷のギフトを発動させて刀に纏わす
マリアの剣撃が稲妻が奔るかの如く鋭い。
振り下ろした稲妻の剣撃を棒立ちの格好で
振り上げた刀で受け止めたエルヴィスは自身
の腕が得た違和感に気付く。
「俺と同じ迅雷のギフト…だが、得意特性は“麻痺”か…ってぇなぁ…腕が痺れちまったよ…」
迅雷のギフトの特性“麻痺”は其の名の如くで
エルヴィスの右腕は麻痺を起こして操るのに
難しさを覚えてしまう。
すると、相変わらずのエルヴィスの表情に
マリアは怒りを露わにして回し蹴りを放つ。
「おっと」と呟きながら其の一撃を回避した
エルヴィスは一度距離を取ると麻痺した右腕
をブンブンと振っている。
「いい加減にしなさいよ…貴方…」
「…ん。何が?」
不思議そうな表情を見せるエルヴィスに更に
怒りを露わにするマリアが口を開く。
「…貴方…私が女だからって舐めてるのよね。だからそんな態度を貫いている…」
「……は?いきなり何だよ」
「性別で判断されるのは好きじゃない。女に優しくしてるつもりかもしれないけど…其れは間違い無く侮辱よ…!」
怒るマリアの圧倒的な乱舞が開演される。
受ければ麻痺を伴う事からエルヴィスは全て
の剣撃を見切り紙一重でひらりと回避する。
そして、回避が続く中でマリアの怒りの意図
にやっと気付いたエルヴィスは笑みを浮かべ
更に麻痺を伴う事を覚悟で右腕に握る刀で
其の攻撃を完全に受け止めた。
「悪い…全くそんな気は無かった。久しぶりの戦闘で浮かれすぎちまったみてぇだ。男だとか女だとか…関係ねぇよ…ウチにはそういうモン、全部取っ払って参謀として組織を支える女がいる…俺は昔からソイツの飽くなき努力を見てきた…中将にまで昇り詰めてんだ。アンタもそうなんだろ?マリア」
麻痺した右腕はお構い無しに剣を振るうと
マリアを一度背後へと軽く吹き飛ばす。
そして、着地したマリアの視界に映ったのは
黄金の雷を纏う圧倒的なオーラを放ちながら
雄々しく君臨するエルヴィスの姿だった。
「さあ、こっからは俺も雄々しく行かせて貰うぜッ!?」
エルヴィスが一歩を踏み出しマリアとの
間合いを一気に詰めて行った。
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