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第八篇第二章 運命の会談
反乱軍の灯火
しおりを挟む「其処から先は覚えてねぇ。記憶を取り戻しても尚…錯乱してしまってた事しか思い出せねぇんだ。長々と済まなかったな…俺の反乱軍創生のルーツが此の話だ…!」
エルヴィスの口から過去の物語の終幕が宣言
されたもののロード達は未だ言葉を呑み込み
息すらも上手く出来ない状態が続く。
エルヴィスの言う反乱軍創生期のルーツ。
バルモアの人間を“夷狄”と呼び排除する事が
此のプレジアにとっての最大級の地盤固めに
なるという事を真理だと悟った。
だからこそ容赦無くバルモア王女シェリーに
も其の脅威となる刃は突き付けられた。
其れがどんな未来を招く事なのかも理解を
示しながらの行動だったのだ。
「俺達は此のルーツとなる俺の生い立ちに共鳴し様々な異国への恨み、自国への愛を抱える人間達が集まり育てて来た中で…政府すらも無視出来ない程の組織となった」
エルヴィスは新たにルーツの話から現在彼等
が思い描いている“今”の話へと転換させる。
「そして…反乱軍はバルモア王女シェリーを狙った。だが此処に来て其の考えを改める事に至ったワケだ…其の根本的は発想はどっから来たか…まさかだぜ?ウチの副長ウィルフィンからの嘆願だ」
命を狙ったバルモア王女シェリーに対しての
殺害という思想を緩和させ会談を開かせよう
と直談判したのは何とウィルフィンだった。
ロード達は驚いた様にウィルフィンへ其の目
を向けると逆にそっぽを向かれてしまうが彼
の頬は腫れ上がり腕や脚には包帯が無造作に
巻かれており何らかの事後だと推察される。
「初めて揉めたよ。ウィルフィンが此処まで反抗してくるのも初だったしな…だが、俺も組織のトップだ…「はい、そうですか」と簡単には受け入れられる筈もねぇ。だが、俺を支え続けてくれた副長の頼みを無下にしていい道理も無かったワケだ…だから俺から提案した…」
「提案……?」
シェリーが相槌を打った瞬間にエルヴィスは
強い瞳でバルモアの王女をジッと見つめる。
「此の長い戦争の歴史を見りゃ、単なる観光気分で来る筈もねぇ。仮にノアに唆されたとしてもだ…。バルモア王家ノスタルジアの王女シェリー…アンタにも此の動乱の先に得たい何かがある筈だ…そうだろ?」
「……はい」
「教えてくれないか?腹を割る…其の為の会談なんだ…頼む…!」
ソファに座り込みながらエルヴィスが初めて
シェリーに対して深々と頭を下げて頼む。
其の姿にシェリーは息を呑んだ。
「お顔を上げてください。貴方様達にも想いがある様に私にも譲れない想いがある…それがご納得頂けるかはまた別の話…全てお話させていただきます…!」
シェリーの覚悟にエルヴィスは顔を上げる。
そして、自分達の下した決断が報われるのか
報われないのか、其れを今判断する為に王女
の言葉を待つのみだった。
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