RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
313 / 849
第八篇第二章 運命の会談

長閑な始まり

しおりを挟む



「だーッ…ニャロウ共…重苦しい空気感に合わせてやってたのに…台無しじゃねぇかッ!!コンチクショーがッ!!」



地団駄を踏むかの様に文句を垂れまくる眼前
のロードの姿にエルヴィスはニヤリと笑う。



「重苦しい空気感の想像が出来てた割にはあんな大会に参加とは意外だな?」


「んがッ…た、確かに…」


「大方、賞品のネックレス目当て。其れも女性陣へのプレゼント…とかそんなんだろ?だが、其れじゃどっちかが貰えてどっちかが我慢しなきゃいけねぇじゃねぇか。男なら惚れた女へのプレゼントくらい自分で買えよ」


「「(めちゃくちゃ見抜かれてたーーーッ!!そしてごもっとも過ぎて言い返す言葉がないッ!!)」」



男性陣は心の中でエルヴィスに何も言い返す
言葉など考え付かずショックを受ける。



「そ、そんなのどうでもいいだろッ!!今はッ…つかウィルフィン…テメェもテメェだッ…あんなコソコソしやがって…出てくんなら普通に出て来やがれッ!!」


「其れは無理だ。お前達になら兎も角。民衆の前で簡単に姿は晒せないだろう…まあ気付いてなかったのはお前ぐらいだろうがな」


「ぐっ…ニャロウ…。グサグサ気にしてるとこ突いて来てんじゃねぇよ…」



やっとロードが落ち着いたのかソファに再び
腰を下ろすとエルヴィスがニヤリと笑う。

そして、シェリーを筆頭に此の空気感は予想
の斜め、いや遥か上を行くモノだった様で
呆気に取られて開いた口が塞がらない。



「ははっ…まあ。そんなに固くなるな。此の会談がどんな結末を迎えようとも今此の場でやり合う気は毛頭ない。俺達は平和的解決の為に此の場を設けたつもりだからな」


「固くなるなって言われてもよ…」


「お前が気にするなよ…。剣術フェスティバルなんてのにウィルフィンに出向いて貰ったのも和やかに話を始めたかったからだ。な?少しは解れた状態で来れたろ?」



エルヴィスの一言にロード達は「確かに」と
理解を示しつつもやはり何処かまだ不安点は
拭い切れていないのだろう。

そして態々エルヴィスが和やかな方向に行く
様に手を打ったのも何か意味があるのか、と
疑いを持ってしまうのも致し方無い。

そして、其の答えがエルヴィスの口から言葉
として述べられる事となる。



「まあ、何だ。俺達からバルモアの姫に此の後で一つ打診をする事になる。其の前に割れる腹は割っとこうと思ってな…俺が何故反乱軍を組織したか…そして何故異国に怒りの業を燃やしているのか…其の理由を話す」


「はわわっ…それは、つまり…」


「ああ。俺が反乱軍を組織するに至ったかの過去だ…。重たい話なのは間違いねぇだろうから…和やかにしときたかったんだよ」



此れから語られるのはエルヴィスの過去。

其れ即ち孤児村ピースハウスでノアと別れる
事のキッカケとなった記憶の戻り。

其の中身の御話である。


しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】  竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。  竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。  だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。 ──ある日、スオウに番が現れるまでは。 全8話。 ※他サイトで同時公開しています。 ※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

処理中です...