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第八篇第二章 運命の会談
奥の間で待つ者
しおりを挟む一度は落ち着いた物の再び高鳴る鼓動の音の
リズムに乗せられて緊張した面持ちでホテル
ウィズディックの三階奥の間へと向かうのは
招待された会談の主役シェリーと王女を護衛
する五人の人間達。
一行は豪華絢爛さを醸し出す奥の間の荘厳な
扉の前へと遂に至っていた。
すると此処は最高齢の風格かレザノフが皆を
扉の前で一度止めるかの様にわざと扉に左の
手のひらを触れた状態で振り返る。
「皆様。此の扉を開ければ何が起きようとも後戻りは出来ません…準備は宜しいでしょうか?」
レザノフの言葉に足を止めた五人が息を呑み
ほぼ同時に力強く頷くと其れに応えるかの様
にレザノフも頷き扉へ向き直る。
そして、ふうと息を吐いて扉を二度優しくも
力強くノックして見せてから緩りと重たい扉
を開くと正面には長方形の大きなテーブルが
在り其れを挟む様に横長のソファが見える。
リビングの広さは言わずもがなアンティーク
調の風情のある家具が立ち並んでいる。
横長のソファはロード達六人すらも余裕を
持って座れそうな程長い。
そして恐る恐る中へと進んだロード達の視界
に町のストリートが見下ろせる大きな窓の前
に景色を眺める様に立ち尽くす金髪の男性の
背中が入り込んで来るのだった。
そして、立ち止まるロード達に向けて金髪の
男性は緩りと振り返るとほんの少しの笑みを
浮かべながら口を開いた。
「よう…。良く来てくれたな…急な招待で心苦しかったがアンタ達が応えてくれた事に感謝してもしきれねぇ…さあ、座ってくれ」
案内されるがままに窓側を向くソファに横に
一列でロード達が緩りと腰を下ろすと彼等の
動きを見てからエルヴィスもまたドサっと音
を立てながらロード達の目の前に座る。
すると奥の方から副長ウィルフィンも姿を
見せるとエルヴィスの横では無くソファの
肘掛けにそっと腰を下ろした。
「(あんニャロウーーッ!!後で文句言ってやる…!)」
ウィルフィンの登場に心の中で文句を大きな
声でかましたい気持ちを空気的に何とか堪え
るロードを見てエルヴィスとウィルフィンが
顔を合わせると何やら笑みを浮かべる。
「…ははっ…。まあ、堅苦しい会談の前によ。挨拶はしとかねぇとな…よう。ラブちゃん…元気だったか?」
「………んなッ!!だ、誰がラブちゃんだッ!!こんの空気感でよく言えんな…ニャロウがッ!!」
「……恋の騎士の方が良かったか?」
「そういう問題じゃねぇしッ…どっちも認めてねぇってんだよッ!!」
「「(…ラブちゃん…?…恋の騎士……?)」」
理由が解らないメンバーは心の中で呟くと
不思議そうに首を傾げて居たが遂に我慢が
出来なくなったロードは立ち上がり文句を
デカい声で騒ぎ立てる。
そして、ウィルフィンは首元の布で唇を覆い
隠しながらクスクスと笑っていた。
どっかで見た光景である。
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