305 / 419
第八篇第一章 剣術フェスティバル
準決勝第一カード
しおりを挟む場所は変わって闘技場内参加選手控え室。
「さてと…ロード。手加減せえへんからな?痛い目にあっても恨みっこ無しやで!?」
「だから…毎度毎度こっちの台詞だってんだよ…!ニャロウが…ッ…!」
「…取り敢えず…何方が先に決勝に駒を進めるのか愉しみに見させて貰うよ」
背後から掛けられたシャーレの激励に二人は
寸分違わず綺麗に振り返ると親指で自分自身
を指して堂々と声を張り上げる。
「そんなの…俺だろッ!?」
「そんなん…ワイやろッ!?」
言葉の違いこそあれど綺麗にハモった二人を
見てシャーレはクスクスと笑いながら其の後
も何やらバチバチな状態でコロシアムの舞台
へと歩みを進めて行く二人を見送る。
そして、大歓声を背に受けながら準決勝の
第一カードとなるロードvsシグマの決戦の
火蓋が今にも切って落とされる。
「レディース&ジェントルメーン!!お待たせ致しました…皆様ッ!!剣術フェスティバル準決勝第一試合…ロードvsシグマ…いざ尋常にィィ…………始めッッ!!!!」
実況アナウンスの声と共に大歓声に包まれた
コロシアムの舞台でロードとシグマが左右の
端から一気に中央に向かって走り込む。
「行くでェェ!!?」
「来いよォッ!!」
勢い良く雄叫びを上げたロードとシグマは
今大会様の木製の刀と槍を互いにぶつけ合い
まるで舞台上の演者かの如く互角の武器捌き
を見せ合い場内の観客達を湧かせている。
「良くわかんないけどっ…とりあえず頑張れーッ!!」
「お二人ともっファイトですっ!!」
場内観客の大歓声に負けない様に二人に向け
声を張り上げるシェリーとポアラの歓声を背
に受けながらロードとシグマがコロシアムの
舞台の上で颯爽と駆けずり武を競う。
「貰った…!」
ロードは体勢を低くするとシグマの足元を
払うかの様に木刀を振るう。
だが、シグマは其れを読んでいたかの様に
華麗に空中に舞い上がるとロードの頭上から
木槍を両手で掴んで振り下ろした。
「…甘いっちゅーんじゃ。ロード…お前はチョコレートより甘いでっ…!」
シグマの一撃をひらりと躱したロードは其の
勢いのままにシグマの背後を取ると踏ん張り
を効かせた足を軸に回し蹴りを叩き込む。
「それをわざわざデカい声で教えてくれるオメェもオメェだっての…!髪の色的に…オメェの甘さは餡子かってんだァァ!!」
ロードが放った其の回し蹴りをシグマは前へ
転がる様にして回避し直ぐ様立ち上がる。
「…はっ…なに言っとるんや…そない言うたらチョコレートも餡子も基本黒いっちゅうねん…そない気張ってマウント取ろうとせんでええでっ!?」
「そんなマウントいらねぇよ。これで勝って思い知らせてやんだからなッ!!」
改めて場内の岩床を蹴った二人の武器が中央
で交差する様にぶつかって行く。
応援ありがとうございます!
30
お気に入りに追加
17
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる