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第八篇第一章 剣術フェスティバル
激闘の剣術フェスティバル
しおりを挟むそして、ほんの少し時間は流れて不思議な
表情を浮かべた翠色の髪の女性はコロシアム
の観覧席へと座り込んでいた。
「………で?なんであの三人は意気揚々とこんな大会に出てんの…?」
時の街ジュードオークスの闘技場に於いて
執り行われる剣術フェスティバル。
此の大会には各地方から集まった腕に覚えの
ある猛者共がズラリとエントリーしていた。
総勢三十二名の猛者達の中にロードを始めに
シャーレとシグマ迄が名を連ねた。
「皆様っすごいですっ!全員三回戦まで圧倒的強さで突破ですよっ!」
大歓声と観客からの拍手喝采に沸き立つ場内
でロード達は揃って準決勝にまで駒を進めて
いたが未だにポアラは状況が飲み込めない。
そんな中シェリーはスタンディングで拍手を
送りながら此の状況に満開の笑顔を見せる。
更に其の隣にはレザノフが笑みを浮かべて
若い男性陣の奮闘振りに目を細めていた。
「うんっ、すごいのはわかったんだけどさ…なんであの三人はいきなりやる気出してこんな大会に飛び入りしたのかわかんないよっ」
「それは私にも全く…。でもまあ皆様が楽しそうなので何よりではないですかっ?」
「それはそうなんだろうけど…え?アタシが考え過ぎなのかな…?」
困り顔のポアラと対照的にキラキラとした
笑顔のシェリーを見ながらレザノフは心の中
でふとこんな言葉を呟いた。
「(三人其々が優勝賞品のエメラルドのネックレスを求めて参加した所を見れば…シャーレ殿はポアラ殿に…ロード殿とシグマは姫様にと言った所でしょう…姫様とポアラ殿が賞品を見て欲しそうにしていたのがつながりましたね…いや…にしても若いですねぇ…気付いて居ない女性陣を含めても…)」
レザノフは一人落ち着き払っていると場内の
大きな岩のボードに描かれたトーナメント表
を見て準決勝の意味合いを再確認する。
準決勝と来れば残って居るのはトーナメント
の制度からすれば参加者が四名。
そして、ロード、シャーレ、シグマが順調に
勝ち上がっているという事はだ。
三人の内の二人が準決勝で激突する。
「……次は…は、はわわわわわわっ…!見てくださいっポアラさんっ…!」
「なになにっ!?あ…ロードとシグマの対戦だ…!」
「(さてさて…どちらが勝ちますかな…順当に行けばシグマでしょうが。今回の特別ルールがどう影響するか…楽しみですね)」
此の剣術フェスティバルに於いては禁止事項
が幾つか存在しているのだが、其の一つとは
ギフトの使用は厳禁である事。
そして、武器は全て木製となり大会本部から
の貸し出し品である事が定められている。
ひょんな事から参戦した剣術フェスティバル
に於いてロードとシグマが準決勝で激突。
誰が優勝賞品を手にするのだろうか。
注目の対決が今、始まる。
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