RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第八篇第一章 剣術フェスティバル

執り行われる祭り

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「……かぁ…失礼な奴等だな…まあ。間違ってねぇから仕方ねぇな…。そんな事より…今時の街には帝国軍の手練れが他にも雁首揃えてる…あんま目立つ行動すんなよ…?めんどくせぇから…」


「政府の要人とは、誰なんだ?」



シャーレの問い掛けにU・Jが口を開く。



「ん?ああ…宰相ガズナって男だ…」


「えっ!?宰相って政府のトップじゃんっ」



宰相とは今に於いては総理大臣。

現在のプレジアはケーニッヒ王家をトップに
据えてはいるが言わば王家とは天皇。

政を司るのは王家ではなく政府の要人達だ。

其の政府の役職勢の中でも頂点に君臨して
いるのが今名前が上がった宰相である。



「宰相ガズナの来訪に備えて警備は万全。一般の市民達はお祭りムード一色さ…冷戦中だってのに…呑気なもんだぜ…」


「……まあ…一般人はそれでいいだろ?変にビクビクしてたって…つまんねぇだろうしな」


「……はっ。まっ…それもそうだ。因みにあっちのストリートじゃ屋台が並んでる…其れにほれ…。色んなイベントが開かれてるんだ…観光ならそこらへんのポスターに目通してみんだな…」



そう言うとU・Jは壁に貼られた幾つもの
宣伝用ポスターを指差して知らせた後で欠伸
を派手にかきながら其の場から離れて行く。

そして、U・Jを見送ったロード達の中で
早くもポアラとシェリーはお祭りの宣伝用
ポスターの元にそそくさと移動して其の中身
に目を通してキラキラした瞳を浮かべる。

夕刻にはエルヴィスとの邂逅を果たして命運
を握る会談が行われる前とは言い難い空気感
を醸し出して居たが、それはそれで良いこと
なのかもしれないと悟ったロード達はお互い
の顔を見合わせてポアラとシェリーの後ろ側
へと緩りと近付いて行く。



「ねぇねぇっ…シェリーちゃん。これ見てっ?綺麗じゃないっ?」


「はわわわわわっ…!エメラルドですかねっ…綺麗ですっ!」



何やらワイワイ、キャーキャーと盛り上がる
女子陣の後ろ側に辿り着いたロード達はふと
呟いたポアラの言葉に凍り付く。



「あっ…。でもこれ優勝商品だって…なになに…時の街ジュードオークスが誇る闘技場で行われる“剣術フェスティバル”…飛び入り参加オッケーと言われてもなあ…」


「……ポアラ……」



ふと声を掛けて来たシャーレの方に向かって
振り返ったポアラは驚いた表情を見せる。



「えっ…なになに…?」


「……其れはいつ開催なんだ…?」


「……んぇ…?え、ええと。ああ…今日のお昼からみたい…だけど…?」



其の言葉を聞いたロード、シャーレ、シグマ
の三人は視覚的にだが真っ赤な炎を其の身に
宿して燃え上がる心を表現する。



「私は出よう。其の剣術フェスティバル」


「…ワイかて行かせて貰うで?…ほう。槍術も可能なら優勝間違い無しや…」


「はっ…。それは俺の台詞だっての…ニャロウ共ッ…!」



何やら燃え上がる男三人は腕組みをすると目
から火花を走らせて睨み合っていた。
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