RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第八篇第一章 剣術フェスティバル

時の街 ジュードオークス

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氷の街ケベルアイスから蒸気機関車に乗って
ロード達六人が向かって来たのは風情のある
伝統に従った古い建物が並ぶ美しく都会的な
街並みが広がる時の街ジュードオークス。

其の本町は機関車から下りて目の前に広がる
メインストリートの景色から見て取れる。

多くの人が闊歩するメインストリートを一歩
離れれば町中を優雅に流れるティムズ川の心
優しくなる様なせせらぎが耳に入って来る。

古き良き西洋の宮殿造りの建物の横を緩りと
抜けて行ったロード達一行は本町最大の時間
を知らせる時計塔ビッグ・ムーアの真下へと
歩を進めて行くのだった。

其の理由は、時計塔ビッグ・ムーアに近接的
に建てられたホテル、ウィズディックの最も
天に近い最上階で本日の夕刻に彼等はかなり
のリスクを孕んだ会談へと臨むからだ。

其の会談相手とは護国師団反乱軍総長である
エルヴィス・ハワードでありシェリーの命を
狙っていた組織のトップである。

ロード達は見上げたホテル、ウィズディック
の最上階となる場所を見つめて言い知れない
不安と未知への希望を感じていた。



「遂に今日アイツ等との会談だな」


「……はわわわっ…き、緊張してきましたっ」


「大丈夫やで…姫様。なにがあろうともこのワイが護ったるさかい」


「シグマ、気合十分ですね。若さこそやはり、原動力というべきでしょうか」


「シェリーちゃん。不安だろうけど…こんな大きな決断をするなんて…すごいなあ…なんとしてでも力になってあげなきゃ…」


「……ポアラ。私達こそ余り気負わずに普段通りでいよう。其れがシェリーにとっても安心材料となるだろう」



各々の声が響き渡る時計塔ビッグ・ムーアの
真下の広場にて心境を言葉にした六人の元に
意外な人物が近寄って来る。



「……お?なんだなんだ…お前等…。またパーティー増やして今度は何しにこんな所に来たんだよ…?」


「……お、お前…」



振り返ったロード達の視界に映ったのはどう
見ても目立つコーンロウに褐色の肌。

サングラスを掛け帝国軍の小紫色の羽織を
纏ったU・J・ブラッド少将だった。



「U・Jこそ…こんな所でなーにやってるのっ?」


「俺か…?めんどくせぇけど…政府のお偉いさんの護衛だよ…」


「U・Jも流石にそういう仕事は受けなければいけない訳か…」


「…オイオイ…お前等…俺を何だと思ってんだ…?」



困った様な表情を浮かべたU・Jを真顔で
見つめるロード達はほんの少しの沈黙の後で
顔を見合わせて代表してロードが口を開く。



「……なまけもの…?」



ロードの言葉にシャーレとポアラは完全同意
を示すかの様に首を縦にブンブンと振って
いると背後でシェリーとレザノフは否定は
しないという風に笑顔を見せていた。

其の状況にU・Jを初めて見たシグマは少し
驚いていたが其れよりもU・Jの見た目の
派手さの方が際立つ様で其方への驚きの方が
強かったのは致し方無いのかもしれない。

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