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第七篇第四章 進展と進化
想いを繋ぐリボン
しおりを挟むそして、翌日の正午を迎えた六人は約束の場
となる雪の郷ウルジムスルク内に在る広々と
した公園の中央に存在感を示す大樹の元へと
其々の想いを抱えながら集っていた。
「もう後戻りは出来ませんよ、姫様。お考えに変わりはありませんか?」
「はいっ。勿論です」
シェリーの手に握られたのは反乱軍の参謀
アドリーから手渡された約束のリボン。
此れを此の大樹の枝に縛る事で反乱軍総長の
エルヴィスとの直接的な会談が実現する。
「アタシ達も同席出来るんだよねっ…な、なんか緊張してきたあ…っ…」
「どう転ぶんか予想も出来んからなあ…準備はしておくに越した事はないやろな…」
「まさか反乱軍から直々とはな…驚いたがいつかは…話し合うべきなのかもしれない」
「心配すんなよ…エルヴィスは直に会ってみたら芯の通ったヤツだ…悪いヤツって事だけはありえねぇからよ…それだけ保証しておくわ」
ロードの話すエルヴィスの人物像は直接彼と
対話したからこそ言えるモノだった、しかし
だとしてもリスクが孕むのは百も承知。
だからこそシェリーは此の機に賭けた。
反乱軍との和解が叶えば革命軍と共に在る
シェリー自身の志の成就は一気にコマを先へ
進める大きな大きな一歩となりえる。
「レザノフ…今回の件はノア様や革命軍の方々へは内密にお願いします…きっと止められるでしょうし革命軍自体が動いてしまえばそれこそエルヴィス様の本心は二度と聞けなくなってしまうかもしれません…」
「危ない橋ではありますが…承知致しました。革命軍と反乱軍…両軍がぶつかり合えば未曾有の事態も考えられますからね…」
「時間だ…シェリー…リボン貸してくれ」
シェリーからリボンを受け取ったロードは
軽やかに大樹を登って行くと枝に確りと風で
飛ばされぬ様に縛り上げて見せた。
此れで反乱軍総長エルヴィスとの直接会談が
実現する運びとなった。
ランスと並ぶ国家指名手配の大物ガスタを
追って氷の街ケベルアイスへと辿り着いた
筈のロード達は此の街で幾つもの出逢いと
戦いを潜り抜ける事となった。
新聞記者サバネが抱えていた裏の顔の正体と
其れを起因させた妹ソフィアの存在。
死蜘蛛狂天三大幹部が一人、ディルの不気味
さ漂う正体も謎を更に深める事となった。
そして、反乱軍からのまさかと言える招待状
にロード達は様々な想いを巡らせる事となり
今此の場に立っているのは生半可な覚悟では
無い事がひしひしと伝わって来る。
そして、舞台は約束の地。
時の街ジュードオークスへと移って行く。
ロード達は其の覚悟を背負い氷の街から汽車
で時の街へと向かう事になり大樹に背を向け
新たな未来へ緩り緩りと歩き出して行く。
そして、反乱軍アドリーもまた其の六人の姿
と風に揺らぐ約束のリボンを瞳に焼き付けて
徐に無線へと手を伸ばすのであった。
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