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第七篇第四章 進展と進化
訳有り氷像造形師
しおりを挟むそして、ロード達はカフェテリアでそのまま
食事を済ませる事となり互い互いに今回の件
で得た情報を纏めて行く事となった。
話して行く中で今回の最大の焦点となるのは
やはり「反乱軍からの招待状」である。
未だ答えを出し兼ねているシェリーの表情を
察する様に緩りと会話を続けて行く六人。
明日には其の答えを出す期日とあって内心は
ハラハラとドキドキが入り混じっている事も
シェリー以外の五人も悟っていた。
そして、話が膠着状態の中食事を終えていた
六人は各々が昼下がりのティータイムへ突入
しながらシェリーを焦らない配慮を見せる。
まあ、ティータイムと言えどロードとシグマ
の二人はシュワシュワとした炭酸飲料で喉を
潤しているのだが、まあいいだろう。
そんな中、シェリーはふとカフェテリアの窓
から覗ける道の反対側にガラスケースに綺麗
に仕舞われたとある氷の像を発見する。
「…はわわわっ…とても綺麗ですっ!」
「……少し休憩にして見に行ってみっか?」
「は、はいっ!」
シェリーを休ませる為の配慮としてロードと
連れ立って氷像が置かれている店へ向かう事
となったがレザノフ達はカフェテリアの店内
から店が覗き込める事で二人で行かせる事に
なりワクワクした表情のシェリーを先頭に
氷像の並ぶ其の店へと移動して行った。
「はわわっ…イルカさん可愛いですっ!」
「どうやって造ってんだろうな?コレ」
「ロード様っ、見て下さいっ…あの女性の方っ…!」
シェリーが指差した店内の奥に居たのは氷塊
を様々な大きさのノミやノコを使って削って
いる髪を束ねた見た目的に四十ぐらいの女性
の姿であり二人は誘い込まれる様に店内へと
其の足を緩りと進めて行った。
「あら、いらっしゃい。お若いお客様だね…こりゃまた…」
奥の氷塊の前に置かれた椅子から緩りと腰を
上げて立ち上がった氷像造形師の女性は緩り
と二人の前に足を向けて来た。
「ども…凄い腕ッスね…コレ全部造ったんすか…?」
「まあね…今じゃ一人でやってるもんだから此処にあるのは全部アタシの作品だよ」
「はわわわわっ…お一人でなんて…更に凄いですっ…!」
「それはそれは、ありがとう…。アタシはイザベラ…もう五年程になるか…亭主が死んでからは一人此処を継いだんだよ…」
「はわわっ…す、すみません。嫌な事思い出させてしまいましたかっ…?」
ナイーブな話題へと入りそうなのを見兼ねて
シェリーが造形師イザベラの顔を覗き込んで
不安な表情を見せると笑顔を浮かべてくれた
イザベラはこう続けて行く。
「なに。話したのはアタシだよ。お嬢ちゃんが心配そうな顔をする事はないさ」
ホッとした様な表情を見せたシェリーの横で
ロードは作業中の氷塊を覗こうとした瞬間に
壁掛けの額縁の中の写真に目を奪われる。
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