RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第七篇第四章 進展と進化

シャーレvsアレス

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「さあ…暫し興じて貰おう…!」



先に仕掛けたのはシャーレだった。

足に纏った水流の逆巻きに因って加速して
行くシャーレは青龍刀を逆袈裟掛けに振り
上げる様に攻撃するがアレスが擬態させた
鹿の角に因って弾かれてしまう。

だが本命は其処では無かった。

特性“泡沫”に因ってシャーレは鹿を攻撃した
自分を囮に背後に流れた水の中から飛び出す
様にしてアレスの背後を取ると一歩で間合い
を詰めて真横に青龍刀を薙ぎ払う。



「……速いですね…君…」



だが其の攻撃も鉄壁を誇るアレスを前にして
は未だ届く事は無く足元から伸びた蔓が腕に
絡み付く様に交わると減速されてしまう。

そして振り返ったアレスのカリスティックに
よる殴打に遭ってシャーレは背後へと身体を
吹き飛ばされてしまうのだった。



「…シャーレッ…!!」



雪の大地を転がるシャーレにポアラの心配を
含んだ叫び声が轟く様に流れ込んで来る。

だが、シャーレの成長は此処からだった。

転がって行ったシャーレの身体はまたも水に
戻る様に雪の中へと沁み込んで行く。



「…えっ…あっちも分身なの…?」



驚いたアレスの頭上から青龍刀を振りかぶる
様に構えたシャーレの姿が飛び込んで来る。



「…貰った…!」


「……中々やりますけど…まだまだ想像の範囲内ですよ…!」



アレスの言葉に呼応したギフトの鹿が頭上の
シャーレ目掛けて一気に突進して行くと真横
からシャーレの脇腹を角でぶつかる。



「……ぐっ……!」



今度こそ弾かれて飛ばされたシャーレは雪の
大地に肩から落ちてしまうと立ち上がろうと
もがく度に口から血反吐を吐いてしまう。



「…惜しかったですね…えと…名前は…」


「……シャーレ…。シャーレ・スティーバだ…少将アレス…貴方が私の仲間に危害を及ぼす可能性がある以上…私は負ける訳には行かない…!」


「…血を流しながら…勇ましいとは思いますけど…無理する理由なんてありますか…?僕がロード君を殺すと言ってる訳じゃ無いのに…」



ゆらりと立ち上がったシャーレは服の袖口で
血を拭うと青龍刀の鋒を前にして構え直す。



「だが…穏便には済まなそうだ…。仲間が危険に晒されるかもしれない…此れは勝手な想像だが…言いたくも無い触れたくも無い…そんな過去を無理矢理にでも掘り返される可能性があるとしたら…私は…ロードを護ってやりたい…!」


「……何故、其処までするんです…?」



アレスの問い掛けにシャーレは一度瞳を閉じ
ふう、と息を吐くと力強く瞳を開けてアレス
に向かって言葉を言い放つ。



「私達は…友達だから。友達が悲しむとしたら其れは私にとっても悲しい物なんだ…!」



シャーレの言葉はアレスへと届く。

目的の為に同行しているだけでは無くロード
を人として信頼しているからこそのシャーレ
の言葉はひたすらに真っ直ぐな物だった。





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