RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第七篇第四章 進展と進化

訝しげな疑いの目

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「…あれ。君達は確か…」



三人の顔を順番に眺めた後で帝国軍少将の
アレス・ニールズはボソッと呟く。



「確か…少将のアレス…。風の街の革命軍アジトに乗り込んで来た一人だと聞いたな…」


「……やっぱり…間違い無かったみたい。君達…バルモアのお姫様と一緒にいる人達ですよね…」


「其れが何か…?」


アレスの言葉に返答したレザノフは少しだけ
身構える様に距離を保ったままでいる。



「実は…ガスタさんという方を追っていた此の街の将官ノエルさんの負傷の知らせを聞いて追加招集されたんです…僕は…。ですが…何の成果も無し…」


「…悪いんだけどっ…一応アタシ達…急いでるだよねっ…愚痴を聞いてる暇はないよっ?」


「ああ…すみません…。話がとっ散らかって…僕が言いたいのは…其のガスタさんという方とお姫様、そして君達と共にいた赤髪の青年が接触したと言うことなんです…」


「……其れは私達には解りかねますね…。何日か会っていない物で…」



シャーレとポアラの素気ない返答にアレスは
溜息を吐くと真面目な表情のまま続ける。



「ロード君…でしたよね?貴方達のお連れの方…彼って…ランスさんという国家指名手配の人が現れた時も…其の場に居たんですよ…其れに今回も…彼はきっと何か知っているしランスさんやガスタさんとも旧知の仲なんじゃ無いですか…?」


「……其れはロードの個人情報。仲間と言えど私達が土足で踏み込んでいい領域じゃ無いので知りませんよ…」


「……そうですか。なら…ロード君に会わせて下さい…後は本人に聞きますから…」



アレスの口調から其れが穏便に済む物では
無いと悟ったシャーレ達は此の先に起こる
最悪の展開を予見してしまう。

シャーレ達にとってもロードと国家指名手配
とされているランスやガスタとの繋がりは彼
の両親を探すべく必要なモノだとは理解が
出来ているが細かい部分は知る由も無い。

帝国軍は其れを無理矢理にでも聞き出そうと
するに違いなく其れはロードをきっと苦しめ
る事に直結するとシャーレ達は考えていた。



「……ごめんなさい。恨みは無いですが目的の為です…力ずくでもロード君の所へ連れて行って貰います…!」



アレスは腰元からカリスティックを其の手に
握り引き抜く様に構えると深緑色の樹木の
ギフトのオーラを纏って行く。

そして特性“擬態”により蔦や蔓が交わって
現れた一頭の鹿を携えて戦闘体勢に入る。

するとシャーレは隣に居るレザノフとポアラ
の身体の状態を思い遣ると青龍刀を構えつつ
一歩を前に踏み出して言葉を言い放つ。



「此の中では私がまだ元気な方でしょう。二人は退がり私に任せて下さい…」


「シャーレ殿…」


「大丈夫なのっ…?シャーレ…」


「…ええ。少し試したい事もありますし…私の身勝手を許して欲しい…!」



そう言うとシャーレもまた次縹色の青い流水
のギフトのオーラを解放して行った。


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