RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第七篇第四章 進展と進化

サバネへの報告

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反乱軍参謀アドリーからの提案を受けた後で
シグマとの関係性に進展を見せたロードは
慌ただしく次は雪の郷ウルジムスルクの中を
人を探して駆けずり回っていた。

勿論、其の探し人とはサバネの事である。

行きずりながらサバネの妹ソフィアとの邂逅
を果たし伝言を伝えるだけでなく、返答すら
持って帰って来る事に成功したロードは本来
なら真っ先に伝えたかったが色々あって少し
遅れた事に申し訳無さを覚えながら走る。

そして、見慣れたハンチング帽の男性を其の
視界に捉えるとロードは走りながら勢い良く
右手を振って声を高々と飛ばした。



「おーいッ!!サバネさーんッ!!」


「……ッ!ロード君…!」



疲れ果てたのかサバネの眼前へと走り込んで
来たロードは膝に手を当てて息を切らす。

だが、見上げた其の表情は晴れやかだった。



「会えたぜッ…アンタの妹さんとよ…!」


「……ほ、本当ですかッ…!?い、妹は…ソフィアはどんな風でした…?」


「……伝言貰ってきた…聞いてくれりゃあ解るだろうよ…」



そして、ロードはソフィアからの伝言を必死
に記憶を辿りながら其の内容を羅列する。

あと少し、時間が欲しい事も。

本人は元気でやっている事も。

終わったら謝りに行く事も。

そして、変わらず兄が大好きという事も。

ロードからの言葉をひたすら黙り聞いていた
サバネは途中から段々と肩を震わせ始めると
其の身体の指先に力がどうしても込もる。

そして、言葉を絞り出す。



「……何を…謝るんだ…。いつもいつも心配ばかり掛けるのは昔から何一つ成長してなんかいない…本当に困った妹だ…でも、生きている…そして元気なら…何も…なにもッ………いらないッ…ありがとう…ロード君…伝えてくれて……ッ……」



思わず溢れて零れた涙と共に声を絞り出した
サバネは俯きざまに肩を更に震わせ啜り泣く
声にロードは穏やかな笑みを浮かべる。

そして、優しくサバネの肩に手を添えると
二度、三度と肩をポンポンと叩いた。

いつも敬語で話して来るサバネの口調と今の
心からの言葉の言い方のギャップにロードは
どれだけサバネがソフィアを愛して心配を
して来たかを悟っていた。

兄妹の仲の良さが垣間見えながらも、いや。
だからこそ、何故彼女が死蜘蛛狂天に所属を
しているのかが解り切れていない。

ロードにとって、死蜘蛛狂天のディルという
謎大き男の存在が真っ先に浮かぶからこその
話なのかもしれない。

気付けば現れ、気付けば消えて行く。

ただ単純に殺しすら金で請け負う傭兵武族の
組織として見るべきか、はたまた大きな大義
を其の身に宿しているのか。

サバネの涙を受け止める様に近くに寄り添い
ながらも死蜘蛛狂天三大幹部が一人、ディル
の嫌な薄ら笑いが脳にこびり付いて消える事
は簡単な事では無かった。

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