RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第七篇第三章 狂宴の雪山

予想外の停戦

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「あーーーっ!ヒュズっち居たあ…!」



正に第二ラウンド開始か、と言った所で大湖
のほとりの雪の大地を踏み締めていたロード
達の元に高い女性の声が響き渡る。

其の声にヒューズが振り返った。



「……反乱軍か…?」


「……新手っちゅうワケか…なんやねん、次から次へと…!」



深い青の髪を振り乱しながらパタパタと走り
寄ってきたのは反乱軍参謀アドリーから幹部
ヒューズの捜索を言い渡されていたもう一人
の幹部の女性、リズだった。



「あ…リズ。良かった…合流出来た…」


「もうっ。一人でどこ行ってたの?ウチっていい大人程迷子になるよねっ」


「違うよ…君達がスタスタ先に行っちゃったんじゃないか…どうせ僕のこと忘れてたんだろう…?」


「あ、そーなのっ?ヒュズっち影薄いもんねぇ」


「…な…そんな言い方しなくても…」



落ち込んで肩を落としたヒューズの横でリズ
はチラッとロード達に目を向けるとまじまじ
とシェリーの姿を見つめる。

後ろで手を組んだリズは口を開いた。



「どーもっ、こんにちはっ。反乱軍で幹部してますっリズだよっ…。ホントだったらお姫様は捕らえて行く所なんだけど…」



リズの言葉に改めて身構えるロード達だった
のだが其の言葉の締めに疑問を覚える。



「…けど…?」


「うんっ。ついさっき状況が変わったの…だからリズ達は君達とは戦わないよ…だからヒュズっちも…“ラブちゃん”達も武器をしまって?」


「………………ラブちゃん……?って誰の事だよ……」


「えぇ?“ラブちゃん”は赤い髪の君のことでしょっ?」


「……いやいや…俺はロードだし…。ラブちゃんなんて呼ばれてねぇぞ…」



ちんぷんかんぷんと言った困り顔を見せた
ロードを見てリズがクスクスと笑う。



「お姫様がだーい好きな“恋の騎士ナイト”。恋ってつまり愛でしょっ?愛はラブじゃんっ?ほら…“ラブちゃん”っ」



にっこりと笑顔を見せながら然も当然の様に
言い放ったリズの言葉にロードはヤカンかの
様に一気に沸騰すると顔が真っ赤に染まる。

其れを聞いたシェリーもわたわたと慌てた様
に顔を赤らめて居たが隣のシグマだけは何故
かまたしても怒りを込み上げさせた。



「まあ…そんな事よりさっ。雪の郷ってあるでしょ?ウルジムスルク…そこに戻っててくれないっ?詳しくはリズ達からは言えないからさ…」


「何だよ…それ…意味わかんねぇ…」


「簡単に言うとぉ。今のところ…反乱軍側からお姫様を殺す事はやめたよーってことっ」



リズの言葉に時が止まる。

恋だの愛だので浮ついていた空気が消えて
ロードとシグマ、そしてシェリーは固まって
其の言葉の真意を探る。

そして声を合わせる様に口を開いた。



「「…………え?」」



正しくリズの発言は晴天の霹靂。

異国民を夷狄と呼んで排除を狙う反乱軍側の
言葉としてはどうにも真っ直ぐ受け止める事
は不可能でロード達は試行錯誤を繰り返す。
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