RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
281 / 419
第七篇第三章 狂宴の雪山

ガスタvsアノン

しおりを挟む



崖下へと降り立ったアノンが口を開く。



「鉄鏡覚醒…“鋼鎧顎鰐アーマーリゲート”…!」



身体全体が京紫色の鰐の様な肌に変化して
太く重さのありそうな尻尾が伸びる。

左手は鰐の身体の様に変化し獰猛な口を鰐が
開くかの様に使う事が出来る様だが其の背中
側は強固な盾にもなる。

そして、アノンの瞳が鰐の瞳の様に変化して
見る者を震え上がらせる程の恐怖心を湧く程
に掻き立たせる姿となっていた。

そして、対するガスタも口を開く。



「疾風覚醒…“鎖丈隼毅チェインファルコ”…!」



覚醒したアノンの目の前で浮遊するガスタも
亜麻色(淡い褐色で黄色みのある灰色)の風を
巻き起こしながら覚醒を披露する。

手足が隼の身体を模した姿へと変わり背中に
亜麻色をした毅然と舞う隼の翼を背負う。

そして手足に鎖が巻かれた様な姿となり彼の
武器である鎖鎌に疾風のギフトを宿して背中
の翼をはためかせていた。



「…ハッ…久しぶりに見たが…まあ老けたよなァ…ガスタよォ…!」


「…ですね。もう只のロートルですよ。私なんて…ですが…此処で呆気なく私が死んだら彼等は自身を責めるかもしれません。ですから…死ぬ事は計算していませんので其のつもりで…!」


「抜かせってんだよォ…旧時代の人間はおとなしく捕まっとけ…いらん事してんじゃねェェ!!」



アノンは左手の鰐口を大きく開くと其処から
鉄鏡のギフトの特性“磁力”発揮し浮遊をする
ガスタの身体を引き寄せに掛かる。

だが、ガスタは手に巻かれていた鎖を飛ばし
引き寄せられながらでも手を打つ。

飛ばした鎖が巻きつく様にアノンの左手に
絡み付くと一気に締め上げ鰐の口をいとも
容易く閉じさせ封じ込めて行った。

そして、振り上げた足から飛ばされた鎖に
因ってアノンの右腕の大剣をも動きを止める
と其の鎖を踏み付ける様に一度足を雪の大地
へと降り立たせた。



「さあ、磁力を使って引き寄せても。貴方には打てる手がありませんよ?此処からどうしますか…アノン君…!」


「ぐっ…舐め腐ってんじゃねェェ!!」



力強く身体を動かして鎖の呪縛から逃れよう
とするアノンだったがガスタの鎖は強固な物
だという事をわからせられてしまう。

そして、ガスタはタイミングを見て再び空へ
舞い上がると今度は両手の鎖鎌を投げ付けて
アノンの身体を完全に縛り上げる。



「……恐らく貴方が全快で向かって来ていたらロートルとなった私には打つ手が無かったでしょう…ですが貴方は連戦、そして傷だらけで私の前に来た。まだ天は私に役割を持たせているのだとそう感じます…!」


「…グッ…クソがァァァァ!!!!」



アノンの身体に巻き付いた鎖の根本をガスタ
が一度引くと其れが連鎖しアノンの身体全体
が鎖に因って締め上げられて行った。

雪山エルブルーム山、崖下の戦いは連戦の
アノンをガスタが降し決着した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

カ・ル・マ! ~天王寺の変~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:6

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:697pt お気に入り:541

異世界召喚された俺は余分な子でした

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:269pt お気に入り:1,752

突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:931pt お気に入り:678

捨てられ従魔の保護施設!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,443pt お気に入り:2,233

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:39,683pt お気に入り:35,501

異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:10,452pt お気に入り:2,411

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:867pt お気に入り:3,917

処理中です...