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第七篇第三章 狂宴の雪山
ガスタvsアノン
しおりを挟む崖下へと降り立ったアノンが口を開く。
「鉄鏡覚醒…“鋼鎧顎鰐”…!」
身体全体が京紫色の鰐の様な肌に変化して
太く重さのありそうな尻尾が伸びる。
左手は鰐の身体の様に変化し獰猛な口を鰐が
開くかの様に使う事が出来る様だが其の背中
側は強固な盾にもなる。
そして、アノンの瞳が鰐の瞳の様に変化して
見る者を震え上がらせる程の恐怖心を湧く程
に掻き立たせる姿となっていた。
そして、対するガスタも口を開く。
「疾風覚醒…“鎖丈隼毅”…!」
覚醒したアノンの目の前で浮遊するガスタも
亜麻色(淡い褐色で黄色みのある灰色)の風を
巻き起こしながら覚醒を披露する。
手足が隼の身体を模した姿へと変わり背中に
亜麻色をした毅然と舞う隼の翼を背負う。
そして手足に鎖が巻かれた様な姿となり彼の
武器である鎖鎌に疾風のギフトを宿して背中
の翼をはためかせていた。
「…ハッ…久しぶりに見たが…まあ老けたよなァ…ガスタよォ…!」
「…ですね。もう只のロートルですよ。私なんて…ですが…此処で呆気なく私が死んだら彼等は自身を責めるかもしれません。ですから…死ぬ事は計算していませんので其のつもりで…!」
「抜かせってんだよォ…旧時代の人間はおとなしく捕まっとけ…いらん事してんじゃねェェ!!」
アノンは左手の鰐口を大きく開くと其処から
鉄鏡のギフトの特性“磁力”発揮し浮遊をする
ガスタの身体を引き寄せに掛かる。
だが、ガスタは手に巻かれていた鎖を飛ばし
引き寄せられながらでも手を打つ。
飛ばした鎖が巻きつく様にアノンの左手に
絡み付くと一気に締め上げ鰐の口をいとも
容易く閉じさせ封じ込めて行った。
そして、振り上げた足から飛ばされた鎖に
因ってアノンの右腕の大剣をも動きを止める
と其の鎖を踏み付ける様に一度足を雪の大地
へと降り立たせた。
「さあ、磁力を使って引き寄せても。貴方には打てる手がありませんよ?此処からどうしますか…アノン君…!」
「ぐっ…舐め腐ってんじゃねェェ!!」
力強く身体を動かして鎖の呪縛から逃れよう
とするアノンだったがガスタの鎖は強固な物
だという事をわからせられてしまう。
そして、ガスタはタイミングを見て再び空へ
舞い上がると今度は両手の鎖鎌を投げ付けて
アノンの身体を完全に縛り上げる。
「……恐らく貴方が全快で向かって来ていたらロートルとなった私には打つ手が無かったでしょう…ですが貴方は連戦、そして傷だらけで私の前に来た。まだ天は私に役割を持たせているのだとそう感じます…!」
「…グッ…クソがァァァァ!!!!」
アノンの身体に巻き付いた鎖の根本をガスタ
が一度引くと其れが連鎖しアノンの身体全体
が鎖に因って締め上げられて行った。
雪山エルブルーム山、崖下の戦いは連戦の
アノンをガスタが降し決着した。
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