RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第七篇第一章 雪降る氷山地帯の再会

大滝 プトラムフォール

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「…い…今なんて…?」


「……だから…人見知りなのだ。なるべく人との接触は避けて歩みたい…」


「……い、いやいや。さっきまで流暢に喋っとったやないか…!今更、人見知り言われても信じられへんで…」


「…アレは今回此処に来た理由と仰せつかった内容を話した迄だ。ほぼ定型文なら楽に話せる…が、完全に同行してしまったら世間話をするかもしれぬだろう?」


「……世間話をすると何か問題があるんでしょうかっ…?」



未だ呆気に取られた様にアワアワとしていた
ロード達だったがシェリーの一言にまた其の
場が沈黙の中に包まれて行くのだった。

そして、シルヴァが緩りと言葉を紡ぐ。



「…何を話したらいいか解らない。我には不得手を通り越して…不可能だ…!」


「………だから、後ろをとりあえず尾けて来ていたと?」



ロードの問い掛けにシルヴァは頷く。



「手助けっちゅうんも…何かが起きてからでええやろとおもっとったと…?」



シグマの問いにもシルヴァは頷く。



「…じゃあ…裏とかではなく…ただ単にシルヴァ様の性格的な問題だったと…?」



シェリーの問い掛けにもシルヴァは絵面が
何も変わり映えのしない頷きを繰り返す事
しかせず三人は溜息を吐いた。



「…や、ややこしいんじゃボケがァ!!此の陰キャ代表ニンジャマンがァッ!!!!」


「……とりあえず俺等先に向かうからそのまま後ろ尾いてきていいぜ…?」



怒りを爆発させて叫んだシグマを見てロード
は出逢ってから初めての同じ気持ちを感じて
同意をすると再び先を急ぐ事に。

其の後ろをシルヴァは流石、忍びという様な
足捌きで軽快に不安定な雪道を駆けて来る。

そして其の数分後にロード達は雑木林の林道
から開けた場所で足を止めていた。

ロード達は其の目の前に広がる景色に言葉を
失いただただ視線を逸らせずにいた。

目の前では岩盤を削るかの様に其の姿を目に
した者達の耳をつんざく様な瀑声が途切れる
事なく無限の楽譜があるかの様に奏でられて
おり彼等の立つ位置から真下の崖下の滝壺に
向けて騒ぎ立てる様に流れて行く。

此処は氷の街ケベルアイス最高峰の雪山と
されるエルブルーム山にある此のプレジアに
とっても最も大きな滝が流れる場所。

滝の名は“プトラムフォール”。

其の景色たるや言葉など必要としない自然の
美であり見る者を魅了する景観であった。

其の流れの強さから此の氷の街に於いても
凍り付く事すら忘れたプトラムフォール。

此の景色を見た者達がまるで凍り付く様に
固まると語られている大滝プトラムフォール
を前にロード達は完璧にあんぐりと大口を
開けたままで固まってしまっていた。

反応が純で素晴らしいので助かる。

だが、此の美しい大滝の前でロード達が捜索
をしているガスタについて新たな展開が待つ
という事を彼等はまだ知る由もなかった。

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