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第七篇第一章 雪降る氷山地帯の再会
死蜘蛛狂天の三大幹部
しおりを挟む「ただ問題は此処からなんです…。死蜘蛛狂天には三大幹部というのが居るのはご存知ですか?」
サバネの言葉にロードは記憶の糸を辿る。
光の街セイントピアで辻斬り騒動に於いて
邂逅した不気味さ漂うディルという男。
更には森の街フォレストールの孤児村にて
シェリーを襲撃して来たリゼア。
只者ではない雰囲気を醸し出していた二人の
男が真っ先に浮かぶが、其れは正しい事。
そして此処からロードの脳内は不思議な程に
活性化されて行くが、浮かんだ其の内容には
まさかであり有り得ない、と首を振って其の
疑念を必死に振り払おうとする。
そして事実がサバネの口から紡がれる。
「傭兵武族・死蜘蛛狂天の三大幹部が一人に私の妹であるソフィア・アインプテラの名前が連ねられている事を知ったんです…」
顔を歪ませて話すサバネを見たロードは最悪
の予感が当たってしまったと同じ様に顔を
歪めるとサバネの表情を見遣る。
そしてポツリと本音が溢れた。
「……嘘だろ…?アイツ等は親の仇なんだよな…それがなんで一緒にいんだよ…」
「…此れはあくまで仮定です…。ソフィアは自ら死地に赴き両親を殺した人間を探しているんじゃないかと…考えました…。そう考えれば辻褄は合うんです…」
「アイツ等はあぶねぇ連中だぜ…?もしそんな思惑がバレたらサバネさんの妹は…」
「……ええ。殺されてしまうと思います…裏家業の人間達は見せしめとしてソフィアは消すでしょう…殺しを生業にしている組織とはそういうモノです…!」
血が出そうになる程に強く唇を噛んだロード
は拳をぐっと握って何か力に成る事は無いか
と必死に思案を続けて行った。
そしてサバネは今回何かの任務で此の氷の街
へと死蜘蛛狂天の女幹部が入って来た事を
知り、其れが妹ソフィアであると確信を深め
足取りを追う様に此の街へとやって来た。
そしてロードは一つ思い当たった事をサバネ
に向かってそのまま口に出して見せる。
「…今、色んな軍の連中が一人の政府に追われてるってゆう大物を追ってんだ…。実は俺達もソイツを追ってここにいる…妹ももしかしたら…現れるかもしれねぇ…!」
「……ッ!……だとしたら…此の郷の北にある雪山…エルブルーム山に帝国軍の軍隊が列を成して向かったと情報を得ています…!」
「……それだッ!」
ロードは時計台の壁にもたれ掛けさせていた
身体をぐっと前に押し出す様に背筋を伸ばし
サバネに向かって笑顔を見せる。
「サバネさんは…ここで待っててくれ…!もし俺達の追ってる人間の元に妹が来たら…連れて来てやっからさ…!」
「…ロード君…。なら一つだけ伝言をお願いしてもいいですか…?」
「おう!覚えられる長さで頼むぜッ?サバネさん…!」
ロードの笑顔がサバネの固く暗い表情さえも
解きほぐして行くと互いに笑顔を見せた。
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