252 / 729
第七篇第一章 雪降る氷山地帯の再会
雪の郷ウルジムスルク
しおりを挟む降り注ぐ雪に歓迎されるかの様にロード達は
氷の街ケベルアイスにある雪で覆われた純白
の郷ウルジムスルクへと辿り着いた。
桟橋から足を進めて雪の郷へと足を向ける
三人の目には煉瓦造りで三角屋根の家屋が
立ち並ぶ景色を目にする。
其処で暮らす人々はコートのフードを目深に
被り分厚い手袋に長靴など雪国の生活様式を
存分に見せ付けてくれていた。
そして入り口のウルジムスルクの看板の前に
郷の子供が作ったのだろうか、多少不揃いな
形の愛くるしい雪だるまが出迎えてくれた。
「はわわわわっ…可愛いですっ」
パタパタと雪だるまに掛け寄ると膝を包む様
に腰を落としたシェリーが笑顔を見せる。
「……っ…ぅぅ…。なんやかんや寒うなってきてんな…オイ、氷の街っちゅうんはいつもこんぐらいの寒さなんか?敵わんわ…」
漸く寒さを実感してきたシグマは鎧の上に
コートを羽織っている為、ロードとシェリー
よりは暖かい筈なのだが身体を震わせる。
「いや?氷の街に関しては俺も初めて来たからな…知らねぇよ」
「なんや使えへんやんけ。唯一のプレジア国民なら直ぐにあったかいトコへ案内せんかァ…ボケがァ…!」
「んだとッ?鎧まで着込んで一人だけヒィヒィ言ってんじゃねぇよ。忍耐力って言葉知らねぇのか?軍平のくせしやがって…!」
「黙って聞いとりゃ言いたい放題かましやがってからに…舐めとんのか、此のボケ、いんや此の大ボケがァ!」
「なにが黙って聞いてりゃだ…ニャロウめ…テメェから始めたんだろうがッ!!」
雪の浄化は一瞬の物だった様でまたしても面
を突き合わせて喧嘩腰になった二人を察した
シェリーが立ち上がるとパンと手を叩く。
「ん?シェリー…?」
「なんや?姫様…」
緩りと振り返ったシェリーはいつもとは違う
表情で二人を見遣ると腰に手を当てる。
「もうっ!いつまで喧嘩してるんですかっ。仲良くしないならお二人とも私は嫌いですっ…せっかく綺麗な所なのに台無しにしないでくださいっ」
そう言い切るとぷいっと頬を膨らませてへそ
を曲げた様にそっぽを向いたシェリーを見て
二人はほんの少しの沈黙の後にガーンッ、と
絶大なショックを受けておどおど、とした姿
を見せながら慌ててシェリーに駆け寄る。
「わ、悪かったってシェリー…!」
「姫様えろうすんまへんでした…そない臍曲げんでや?」
「そ、そうだ。ほ、ほら。俺ら実は仲良いんだッ?な、なっ?」
「お、おう。せ、せやな?ほれ見てみい姫様…け、喧嘩するほど仲がいい言うてな」
引き攣った表情でシェリーの機嫌を取り戻す
様にして肩を組んだロードとシグマを見て
そっとシェリーが微笑んだ。
「(なんかお二人の取り扱い方がわかってきたかもしれませんっ)」
嬉しそうに心の中で呟いたシェリーだった。
60
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる