RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦

代理護衛の任命

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革命軍のアジトで悩みにぶち当たり硬直した
ままのロードはシャーレ等の負傷によって今
直ぐには動く事が出来ない事は理解した上で
ガスタという男を追いたいという気持ちが胸
の内で激しく交錯していた。

其の姿を目に焼き付けるシャーレ達ですら
一言も言葉を発しないロードの想いは口など
開かずともひしひしと伝わっている。

様々な事に巻き込まれ肥大化して行く此の旅
の目的というのはロードの両親を探す事だ。

其れがシェリーとの出逢いを通して反乱軍や
革命軍、更には帝国軍や裏帝軍と言った政府
に属する組織の人間達と繋がって来た。

其処が旅路を行く上での目的の肥大化だ。

仲間の回復を待つ、ガスタという男を追う。

此の二つは今のロードにとって何方も変わる
事なく最優先事項である事は間違いない。



「………ロード。旅の目的を忘れる事は無いんだぞ?」


「シャーレ…」


「森の街への移動中にランスとの再会を果たした事、だが肝心な事は解らぬままである事も私達は知っている。ガスタという男との接触も両親に会う為には必要なのだろう?」


「…だけどよ…砂の街ん時も俺は一人で突っ走っちまって…」



シャーレはロードの想いを後押しする様に
言葉を紡ぐが当の本人は後ろめたさを感じず
には居られず頭を悩ませている。



「ロードっ。アンタの良さは何っ?」


「…は?何だよ急に…」


「アンタの良さは自分の行きたい所に真っ直ぐ進める活力と勇気だよっ?今行かなかったらアンタは後悔するっ。後悔するのなんてまだまだ早いんじゃないっ?」


「…ポアラ…」



ロードの気持ちを汲むのはシャーレとポアラ
此の二人にとっては慣れた物なのだろう。

ポアラの笑顔にロードが笑顔を取り戻す。



「…ロード様っ…!今回は合流もしやすい様に私もお供しますっ…ギフトのおかげで少しはお役に立てると思いますしっ!」


「…また危ねぇ目に遭うかもしれねぇのに…。シェリー…お前…ッ!」



ぐっと胸の前で拳を固めたシェリーの笑顔に
ロードは悩んでいた全てを払拭する。



「悪ィな…お前等…。先行かせて貰うぜ」


「済みませんが私がこんな状態では姫様の同行は認めかねます。…ですが、こんなに早く貴方のチカラが必要となるとは、ですね。シグマ、私達が合流する迄は姫様の護衛代理として同行しロード殿の旅を手助けしなさい」


「おうよ。ワイに任しとき…!レザノフさん」



シェリーの護衛代理として任命されたシグマ
がビシッと親指を立てて胸を叩いた所までは
良かったのだが何かに気付いた護衛に任命
されたシグマとロードは固まってしまう。



「…こ、コイツと同行…?」


「な、なんでやねん…。このアホとかいな」



二人は冷や汗を垂らしながら見つめ合うと
硬直したまま其の視線を合わせている。

水の街アリアアクアの港町ラヴェンダにある
ジェノスハーバーでの攻防戦を終えたロード
達は負傷組とガスタ追跡組に別れる事に。

氷の街ケベルアイスでの新たな物語が
またロード達に依って紡がれて行く。
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