RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦

売られた喧嘩

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「…アンタ…あん時の…助けてくれたんだろ?ありがとな…!」


「…………やかましいわ」


「……は?」


「やかましい言うてんねんッ!こんのボケがァ!!!!」



わざわざ座った筈なのだが秒で立ち上がると
ベッドに足を伸ばして座るロードの胸ぐらを
掴むと粗暴な言葉遣いで怒鳴る。



「…んだとッ?礼を言っただけだろうが…」



胸ぐらを掴んで来た鎧の男に対してロードは
イライラを募らせながらベッドから身体を
緩りと起こして立ち上がると相手の肩に拳を
突き付ける様に置くと額を近づけて睨む。



「礼なんかいらんわ…ボケェ。お前のせいでなァ…姫様死ぬ所やったやんけ。そんな奴の礼なんざハナクソと一緒にポイっとしたるわァ!!」


「…ぐっ…。シェリーを危険に晒したのはすまねぇ。だけどな…テメェのその喧嘩腰の姿勢が気に食わねぇよ…ニャロウがァ!!」


「…シェリー…やと…?どこの馬の骨だか知らんアホの赤頭がなァ…姫様を呼び捨てやと?無礼にも程があるやろうがッ!頭湧いとるんか…お前はァ!!」


二人の怒気の込められた大声を聞いて慌てて
バタバタと部屋へと入って来た少女が二人の
姿を見てあわあわと口を開いた。



「はわわわわわわわっ!!ロード様っ…それにシグマっ…何をやってるんですか?もうっ!!」


「シェリー…!」


「姫様…!…って呼び捨てにすんなって言うてんのが聞こえへんかったんか?ボケが」


「あァ!?いちいち突っかかって来やがって。テメェこそどこの誰なんだよ…ニャロウがァ」



シェリーの登場で一度喧騒は止んだものの
秒でまた喧嘩腰へと戻った二人を見ると顔を
真っ赤にしたシェリーが声を張り上げる。



「いいからっ二人とも手を離して下さいよ…もうっ!!」



シェリーの言葉に緩り緩りと手を離した二人
はお互いふんっと鼻息を鳴らしてそっぽを
向く様な姿勢を見せると息を切らした肩を
揺らすシェリーが呆れた表情を見せる。



「シグマっ!喧嘩はやめて下さいっ。ロード様達は必死で私を護って下さったんですよ」


「せやかて…姫様…。姫様が危ない目に遭ったのは事実ですやんか…」


「元々承知の上ですっ!他の方のせいにしては行けませんっ!シグマっ」


「…ッグ…へ、へい。すんまへん…」



鎧の男はタジタジとした表情で後頭部に手を
当ててペコペコと頭を下げている。



「ロード様っ。すみません…こちらはシグマ。バルモア王家ノスタルジアの本国護衛軍の戦士です。この度、私への謁見希望者として来たのもこちらのシグマですっ」



何とか場を収めようとロードにシグマを紹介
したシェリーの言葉でロードはシグマを見た
のだがシェリーの背後に立った其の彼は何と
舌を出し両手で目を横に引っ張って馬鹿に
している事だけは直ぐに解る変顔を披露して
おりロードのイライラは収まらなかった。

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