RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
245 / 849
第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦

売られた喧嘩

しおりを挟む


「…アンタ…あん時の…助けてくれたんだろ?ありがとな…!」


「…………やかましいわ」


「……は?」


「やかましい言うてんねんッ!こんのボケがァ!!!!」



わざわざ座った筈なのだが秒で立ち上がると
ベッドに足を伸ばして座るロードの胸ぐらを
掴むと粗暴な言葉遣いで怒鳴る。



「…んだとッ?礼を言っただけだろうが…」



胸ぐらを掴んで来た鎧の男に対してロードは
イライラを募らせながらベッドから身体を
緩りと起こして立ち上がると相手の肩に拳を
突き付ける様に置くと額を近づけて睨む。



「礼なんかいらんわ…ボケェ。お前のせいでなァ…姫様死ぬ所やったやんけ。そんな奴の礼なんざハナクソと一緒にポイっとしたるわァ!!」


「…ぐっ…。シェリーを危険に晒したのはすまねぇ。だけどな…テメェのその喧嘩腰の姿勢が気に食わねぇよ…ニャロウがァ!!」


「…シェリー…やと…?どこの馬の骨だか知らんアホの赤頭がなァ…姫様を呼び捨てやと?無礼にも程があるやろうがッ!頭湧いとるんか…お前はァ!!」


二人の怒気の込められた大声を聞いて慌てて
バタバタと部屋へと入って来た少女が二人の
姿を見てあわあわと口を開いた。



「はわわわわわわわっ!!ロード様っ…それにシグマっ…何をやってるんですか?もうっ!!」


「シェリー…!」


「姫様…!…って呼び捨てにすんなって言うてんのが聞こえへんかったんか?ボケが」


「あァ!?いちいち突っかかって来やがって。テメェこそどこの誰なんだよ…ニャロウがァ」



シェリーの登場で一度喧騒は止んだものの
秒でまた喧嘩腰へと戻った二人を見ると顔を
真っ赤にしたシェリーが声を張り上げる。



「いいからっ二人とも手を離して下さいよ…もうっ!!」



シェリーの言葉に緩り緩りと手を離した二人
はお互いふんっと鼻息を鳴らしてそっぽを
向く様な姿勢を見せると息を切らした肩を
揺らすシェリーが呆れた表情を見せる。



「シグマっ!喧嘩はやめて下さいっ。ロード様達は必死で私を護って下さったんですよ」


「せやかて…姫様…。姫様が危ない目に遭ったのは事実ですやんか…」


「元々承知の上ですっ!他の方のせいにしては行けませんっ!シグマっ」


「…ッグ…へ、へい。すんまへん…」



鎧の男はタジタジとした表情で後頭部に手を
当ててペコペコと頭を下げている。



「ロード様っ。すみません…こちらはシグマ。バルモア王家ノスタルジアの本国護衛軍の戦士です。この度、私への謁見希望者として来たのもこちらのシグマですっ」



何とか場を収めようとロードにシグマを紹介
したシェリーの言葉でロードはシグマを見た
のだがシェリーの背後に立った其の彼は何と
舌を出し両手で目を横に引っ張って馬鹿に
している事だけは直ぐに解る変顔を披露して
おりロードのイライラは収まらなかった。

しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】  竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。  竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。  だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。 ──ある日、スオウに番が現れるまでは。 全8話。 ※他サイトで同時公開しています。 ※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

処理中です...