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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦
禍福は糾える縄の如し
しおりを挟む「…っ…ろ、ロード様…ちょっと意識…がっ…」
「……ッ……シェリー…ッ!!」
突如として瞳が閉じて行くシェリーの身体が
ぷつりと意識を失う様に石の地面へと力が
抜けて行く様にうつ伏せに倒れ込む。
シェリーが意識を失うと同時にロードの身体
に纏われていた桃色の光が天へと昇る様に
掻き消え弾けて消えて行った。
希少種である閃光のギフトに目覚めてから
其のチカラを使ったのは初めての事だった。
シェリーは必死に祈り其のチカラを引き出す
事には成功した物の、まだ其れを扱うには
練度が足りなかった、そういう事だろう。
其れを見たライアはロードの手を振り解く。
そして一歩下がったライアは言い知れぬ不安
と恐怖からとある事実へと辿り着く。
「(荒手は迫っているのじゃ…。そして其の荒手は中々の使い手…此の状態で相見えれば激戦は必至じゃろう…下手を打てば妾は死ぬ。じゃが…此の姫を今放置すれば…強大な敵になるやも知れぬ…あの御方に喜んで貰えるなら此のライア…命は惜しまぬでありんすよ…!!)」
ライアがシェリーの元へ向かおうとするのは
見たロードは其の間に割って入り戻って来た
痛みと戦いながら手に握る刀を振るう。
「させねぇぞッ!!」
「邪魔をするなでありんす…!」
ロードの剣劇を弾くライアの表情には確りと
焦りがあった筈だったのだがいつの間にか
其の表情は何か吹っ切れたとも取れる表情で
あり腹を括った覚悟ある表情にも見える。
だが、ロードも痛みがあろうが無かろうが
退く事など最初から選択肢には無い。
何故ならレザノフとシャーレから託された
倒れる仲間の存在が背後にあるからだ。
だが、覚醒したライアの猛攻を止まない。
ロードは振るわれた鉄扇が巻き起こす烈風の
餌食となり赤銅色の石壁に大文字の姿で風の
磔とされてしまい、口から血反吐が溢れる。
「…はぁ…はぁ…此れで終わりじゃ…。姫…恨みは無いでありんす…しかしさようならじゃ。どうかよしなに…!」
「ま、待てェ!!!!」
振り上げた鉄扇は倒れ込むシェリーの背中に
向けて疾風のギフトの烈風を叩き込もうと
チカラを溜め込み跳ね上がらせる。
其れを見たロードの必死の叫びが闘技場に
木霊するもののライアの視線はシェリーへと
向けられたままだった。
「奇跡など二度は起きぬでありんす…!」
唇を噛み締めたライアは鉄扇がシェリーに
向けて振り下ろされて行く。
ロードにとっては其の光景はとてもスローに
流れ此の先に映し出された景色から目を離す
事は出来なかった。
そう、鉄扇が一本の長い槍に動きを止められ
ライアは其の方向へと首を曲げて行く。
其の先に居たのは褐色の肌の鎧の男。
白銀の鎧に漆黒のマントを翻す若き青年の姿
がありライアの羽が揺らめく風に因って黒い
青年のパーマがかった髪が揺れた。
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