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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦
参戦の第四勢力
しおりを挟むシャーレとレザノフの機転に因って草木が
生い茂る森林の中へと逃げ込んだロード達。
彼等は一心不乱に進みシェリーを危険から
遠避ける様に足場の悪い森林内を駆ける。
そしてロード達は一度森林内の中でも開けた
場所に到達すると其処には石壁に覆われた
円形状の屋根の無い大きな建物があった。
「ここはなんだろうっ?」
「…わかんねぇ。とりあえず一旦中でほんの少し身体を休めようぜ」
三人は其々荒れた息を整える為にお互いの顔
を見合わせると頷いて中へと向かって行く。
赤銅色の石壁の建物の中へと足を踏み入れた
ロード達は見上げる様に中を見渡す。
其処は三百六十度に展開した高い位置の観覧
用の座席が並び建物内の中央には此方も円形
の床が設置されており、其の円形の床は他の
中央部と比べても一段程高い位置にある。
此処は過去、水の街で闘技場として用いられ
ていた様々な戦士が己の力を発揮する為の場
であり観覧席には幾つかの戦士を模した銅像
が建てられている事からも其の歴史を光景
から垣間見る事が出来た。
其の神聖な空気に息を呑むロード達は闘技場
奥の石段に腰掛ける女性の姿を認識する。
其の女性は肩を出した赤い着物姿に桃色の髪
を結い簪を差している妖艶な女性であった。
煙管を口に含み円状の煙を宙に吹かすと其の
女性は着物の裾を正しながら緩りと立つ。
「だれっ?アナタ…」
其の女性の動きに合わせてシェリーを背後へ
匿う様に前に出たロードとポアラの二人。
対する着物姿の妖艶な女性は其の光景に背後
に隠されたシェリーに目を付けてほんのりと
笑みを浮かべると石段から飛び降りて中央部
の一段高くなった闘技場のフィールドへと
其の身体を緩りと乗せて口を開く。
「妾は政府直下裏帝軍幹部ライア・ガガルディンでありんす。今日は後ろのお姫様に用があって参ったのじゃ。よしなに…」
「裏帝軍…。あの蛇男と一緒か…」
唯一ロードだけが彼女の所属する組織に対し
思い当たる節がありライアの腰元にスネイク
と同じく裏帝軍特有の翠色の羽織が着物の帯
の上に確りと結ばれている事に気付く。
「また新しい敵って事…?本当…いい大人達が目の色変えちゃってさ…」
ポアラが腰元からナックルダスターを手にし
翠色の大地のギフトを纏わせると目の前の
ライアはひらりと身体を捻じる様にして腰元
から二本の扇を手にした。
扇を華麗に開くと共にライアの特徴的な桃色
の髪のサイドテールがふわりと揺れる。
ポアラはお先に、と言わんばかりにロードに
目配せをすると石の地面を蹴り上げライアへ
向かって真っ直ぐ突進を図る。
U・Jとの修行で未だ自身の大地のギフトの
特性である重力の力は未熟だと知ったポアラ
はナックルダスターに其の重力を乗せると
力強くライアに向けて其の拳を振るう。
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