RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦

成長の時

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ジェノスハーバー西コンテナ区域。

覚醒したオーズを結果として撃退する事に
成功したフロウはノアの指示を受けて大勢の
部下と共に寄港に成功したバルモア本国から
の巨大な貨物船から荷を降ろす作業を進めて
いると貨物船から掛けられた梯子では無く
船の上から港へと飛び込む鎧の男の姿を其の
目に映すと其の鎧の男は一目散に駆け出す。

すると其の男を追う様に船から身を乗り出す
一人のタオルを頭に巻いた乗組員が鎧の男に
大声で声を掛けていた。



「おーいッ!一人で行って迷わねぇか?」


「ワイを誰やと思っとるんやァ?いつまでもガキ扱いせんとき…行くでェ!?」


「たくっ…アイツは…周りの事などお構い無しってか。何処まで行っても真っ直ぐな小僧だな…まあ、久方振りに姫様に会えるんだ。気持ちが昂るのも仕方ねぇか…」



駆け抜けて行った鎧の男をフロウの視線が
追うのは簡単な理由だった。



「(ほう。あの青年…中々にやる様だな…バルモアにも新たな流れが生まれているのだろう)」



そして、場面は切り替わる。

其処では覚醒が解け荒い息を発しながら疲弊
し傷を負ったレザノフがうつ伏せに倒れ込む
姿を前にしてエゼルが緩りと近寄って来る。

其の間には何とかレザノフを救おうと抗い
膝を付いたまま血だらけでエゼルを睨み付け
抵抗の意志を示すシャーレの姿があった。



「あらら…諦めた方がいいっしょ?彼氏くんじゃ僕ちんには敵わないって…わっかんないかなあ…」


「君を此処で放置すればレザノフさんは殺される…更にはシェリーも連れ去るつもりなんだろう?」


「まあ…夷狄を排除しようってのは僕ちんが所属する反乱軍の統一思想だし?それは避けらんないっしょ」


「だったら尚の事、諦める、という選択肢は元から無いんだ…私が諦める事に期待はせずに君が諦めてくれ」


「……はぁ…あーあ…僕ちん…ポアラちゃんには嫌われちゃうっしょ。超悲しいけど…そんな事言ってらんないじゃんよ…」



エゼルの襟足から伸びた毒針が触手の様に
シャーレに襲い掛かると下から振り上げた
水流の壁に因って其の攻撃を遮断する。

そして足元から流れた水の中を進んだ
シャーレは前方に水分身を出現させて
エゼルを撹乱させようと背後からの剣劇に
全ての水流のチカラと波動を込める。

其の剣圧の凄まじさたるや、エゼルにも
ほんの少しの恐怖を与える程であった。

だが、反応したエゼルは振り返り槍を振るい
シャーレの青龍刀の一撃を防ぐと両者譲らぬ
鍔迫り合いとなって行く。

お互いの武器が甲高い金属音を奏でた其の
瞬間にエゼルはシャーレの瞳にとある一抹の
不安を感じ、心の中で呟く。



「(あれれ?彼氏くん…僕ちんの覚醒状態を押し込んでる…さっきよりも今の方が段違いに強くなってるっしょ…もしかして…)」



シャーレは残る全てを出し切るかの如く
激しさを増すギフトと波動の上昇を青龍刀に
ぶつけたまま雄叫びを上げた。
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