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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦
蠍の毒針に狙われて
しおりを挟む「では、こうしよう。ロード、ポアラ…シェリーを頼んだ。私はレザノフさんと共に残ろう」
「…シャーレ殿?」
「私はレザノフさんに稽古を直々に付けて貰った身…実際に手を合わせたからこそ貴方の癖も少しは把握しています。だからこそサポートが出来るかと…」
「…解りました。では、宜しく御願い致します…!」
シャーレは振り返るとロードとポアラと顔を
合わせて示し合わせるとシェリーを連れて
先に行く様に頷いて見せた。
「…レザノフさんに稽古を付けて貰った事は強運だったと言う訳ですね」
振り返って口を開いたシャーレの背後で
ロード達は一度其の場から離れるべく
ナンパ男から背を向けて走り出して行く。
「あらら~…かわうぃ~子達みーんな行っちゃったよ…。残念過ぎるっしょ…まあ…僕ちん女の子には手ェ出せないからさぁ…ラッキーちゃラッキーかもねぇ…」
サングラスの奥でニヤリと微笑みイタズラに
舌を出して挑発を見せたナンパ男の目の前で
レザノフとシャーレは隣り合わせでお互いの
武器を構えると臨戦体勢を取る。
「昨晩は思い出せなかったが…。反乱軍幹部エゼル・アッシュトール…此処から先は行かせないさ…!」
「あれれ?知ってたんだ僕ちんの事。なーんだ名乗る手間省けちった…。じゃあそんなこんなで改めてシクヨロでぇ~す…アゲアゲで行きまっしょい…っ…!」
護国師団反乱軍幹部エゼル・アッシュトール
は手加減無しとばかりに身体にレザノフと
同じ鉄鏡のギフトのオーラを纏う。
其の色は萌葱色(鮮やかな黄緑色)である。
更に其処から一気に波動を解放して行く。
「シャーレ殿…覚醒です!」
「…いきなりか…」
レザノフから注意喚起を受けたシャーレは
レザノフと共にギフトのチカラを其の身に
直ぐ様纏わせると集中を高める。
目の前のエゼルは元々長かった襟足が伸び
其の襟足が何と蠍の尻尾の様な形へと変化
を遂げて行き尾の先には鋭い毒針が顕現し
意志を持つかの様に蠢いている。
更には両肩付近から蠍の鋏を持つ手が生まれ
人間の腕と蠍の鋏を合わせて四本の腕となり
上半身には鎖が巻かれた姿へと変貌する。
「…鉄鏡覚醒…“刺祇鉄蠍”…!」
「蠍か…?」
「ご名答~…この蠍の毒針には麻痺毒が仕込まれてっからさ?捕まったら終わりっしょ…僕ちんの異名牢蠍だからさぁ…捕らえられたら後は弄ばれて死ぬだけなんでそこんとこ…シクヨロでぇ~す…!」
エゼルは前方と後方、両方に刃の付いた槍を
手に構えると両肩の蠍の鋏がシャーレ達に
向けて「掛かって来い」とも言うかの如く
クイクイと動きを見せた。
挑発かと思った其の瞬間だった。
二人の身体はコントロールを失い突如として
エゼルの毒針が待つ懐へと引き寄せられる。
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