RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦

追撃の刺客

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一方、場所は変わって水の街アリアアクアの
中にある港町ラヴェンダの町外れの海岸から
自然豊かな丘付近へとやって来たロード達。

此処ら付近で人目を忍びバルモア本国からの
貨物船に同乗するシェリーへの謁見希望者
との合流を果たす事が目的である。

ロード達は周りへ注意を払いながらシェリー
を囲む様に護衛の陣を取っていると人気の
無かった丘に一人の男が近寄って来るのを
シャーレが見ていた方角から確認する。



「皆、誰か来た様だ…」



シャーレの声に反応したロード達は一斉に
同じ方角に目を向けるとポアラが一番に其の
男に対する見覚えを口にした。



「あ…アレって…昨日の…」



ロードとシェリー、レザノフに関してはピン
と来ていない様だったがポアラの気付きに
シャーレが同調を見せた。



「昨日のナンパ男…反乱軍だ…」


「あれれ、ポアラちゃーん。こんな所で奇遇じゃーん…今日も変わらずかわうぃ~ね」



少し離れた位置から手を振りながらヘラヘラ
と笑みを見せた其の男は昨日は纏っては
いなかった漆黒の団服に身を包んでいる。



「…聞いていた通り軽薄な口調の方ですね」


「アレが言ってた反乱軍か…。あのリーゼントヤンキーが言ってたチャラ男だろ?アレ…やっぱり反乱軍って濃いよな…」



レザノフとロードが各々の心象を口にした
所で其のナンパ男は多少の距離を空けて
ロード達の目の前で緩りと其の足を止める。



「アンタ…何しに来たのっ?」


「いや~…解んね?お姫様頂きに来たっつーか?お近づきに来たっつーか?まあ、僕ちんは女の子に手は出せないから連れて帰るって事にしたのよ。それにしてもお姫様もやっぱりかわうぃ~ね」


「ヒッ…」



怯えた様に声を上げたシェリーを背中に隠す
様にロードが前に出てナンパ男を睨む。



「あれれ?君かぁ…噂の恋の騎士ナイトっつーのは。其の位置羨ましいっしょ。変わって?おなしゃ~す」


「どこまで広まってんだソレはァ!!…ウィルフィンの野郎…覚えとけよ…!」



顔を真っ赤にして荒々しく叫んだロードの
背後でシェリーが首を傾げて呟く。



「…恋の…?」


「ああッ!!シェリー…気にすんなッ…何でもねぇッ!!」


「「(鈍感コンビめ…!)」」



緊張感漂う場面だった事もありシェリーを
慌てて誤魔化したロードの姿にシャーレと
ポアラは呆れた様に心の中でツッコむ。

だが、一歩前に出た男の存在のおかげでまた
其の場に痛い程の緊張感が回帰して来た。



「ロード殿…シャーレ殿…ポアラ殿…姫様をお願い致します。此処は私が食い止めると致しましょう」


「レザノフさん…アンタ身体はいいのかよッ?」


「良いか悪いかで決められる程、姫様の命は軽くは御座いません。私にお任せを」



レザノフの覚悟の言葉に呼応した三人だった
のだがやはり身体の心配は拭い去れない。

其処でシャーレが口を開く。

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