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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦
美しき氷と雪のカーニバル
しおりを挟む「ねぇ、戦いなんかやめようよっ?」
エルムは飛び跳ねる様にしてステッキを
振るうと東コンテナ区域に蒲公英色の雪を
大量に降らせ始める。
其れに合わせて後ろへ跳んだルナの手に
握られたライフルから何発もの弾丸がエルム
に向けて飛んでいくが其の弾丸は全て空中に
浮遊していた雪に触れると失速し石畳みの
地面へと落下して行く。
此れは氷雪のギフトの特性“淡雪”だ。
淡雪とは物質の動きを軽減させたり地面や壁
を柔らかくする事で自身に来る衝撃を緩和
させる事が可能な特性である。
ルナは1度ライフルを下げると瞳を閉じて
エルムの「戦いなんて止めよう」という言葉
頭の中だけで再生させながら瞳を開ける。
するとルナの身体にもエルムと同様に氷雪の
ギフトが纏われオーラを解き放つ。
ルナは紫苑色(淡い紫色)の氷であった。
「わぁっ!ルナちゃんもエルムちゃんとおんなじギフトなんだねっ。氷とか雪って素敵でドキドキしちゃうなあ」
次の一瞬だったライフルをくるりとまるで
ペン回しかの様に華麗に回したルナはエルム
の足元に向けて紫苑色の氷の弾丸を放つ。
すると地面に突き刺さった氷の弾丸を起点に
して紫苑色の氷の華がエルムの身体を包んで
首から上以外を凍結させたのだった。
此れは氷雪のギフトの特性“凍結”。
相手や物質を凍らせ、動きを止める特性だ。
「わぁ…すっご…綺麗な氷の華…革命軍幹部ルナ・オウスムーンの異名月華のまんまだねぇ」
「随分と余裕だな。エルム少将」
「その呼び方きらーいっ。かわいくないんだもんっ、エルムちゃんって呼んでよ!」
頬を膨らましたエルムは足元に蒲公英色の
魔法陣を生成し地面から雪を吹き上がらせる
と紫苑色の氷の華は溶けて行く。
エルムは身体を伸ばしたり捻ったりして自身
の身体機能を確認すると微笑んだ。
「エルム少将と私は親しくは無いのでな。其れに帝国軍と革命軍の目的は完全に断絶されている…馴れ合う事は出来ないであろう」
「…みんな、そればっかり。だから戦うの?バッカみたい…帝国軍も革命軍も反乱軍もお口があって話せるんだよっ?戦いいがいにたのしいこと山程あるんだよっ?」
エルムが何の気に無しに発言した言葉にルナ
は反論の言葉を用意する事は出来なかった。
そして言葉を紡ぐ事が出来ないルナの目の前
でエルムの波動とギフトのチカラが急上昇を
始めると足元に再び魔法陣が描かれる。
「いつかみんなで輪になって手つなげたらさ…ドキドキするぐらいの平和が来ると思うのに…」
「此れが…帝国軍少将魔道士エルム・ミュリアル…」
「氷雪覚醒っ泡雪魔導っ!!」
エルムの服装が白と黒の氷と雪のドレスへと
変化を遂げて行き、首周りに長い蒲公英色の
マフラーが巻かれて行く。
帽子も氷のペンギンを模したかの様に変化を
して行き顔に雪と氷のペイントが施された。
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