RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
225 / 849
第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦

美しき氷と雪のカーニバル

しおりを挟む


「ねぇ、戦いなんかやめようよっ?」



エルムは飛び跳ねる様にしてステッキを
振るうと東コンテナ区域に蒲公英色の雪を
大量に降らせ始める。

其れに合わせて後ろへ跳んだルナの手に
握られたライフルから何発もの弾丸がエルム
に向けて飛んでいくが其の弾丸は全て空中に
浮遊していた雪に触れると失速し石畳みの
地面へと落下して行く。

此れは氷雪のギフトの特性“淡雪”だ。

淡雪とは物質の動きを軽減させたり地面や壁
を柔らかくする事で自身に来る衝撃を緩和
させる事が可能な特性である。

ルナは1度ライフルを下げると瞳を閉じて
エルムの「戦いなんて止めよう」という言葉
頭の中だけで再生させながら瞳を開ける。

するとルナの身体にもエルムと同様に氷雪の
ギフトが纏われオーラを解き放つ。

ルナは紫苑色(淡い紫色)の氷であった。



「わぁっ!ルナちゃんもエルムちゃんとおんなじギフトなんだねっ。氷とか雪って素敵でドキドキしちゃうなあ」



次の一瞬だったライフルをくるりとまるで
ペン回しかの様に華麗に回したルナはエルム
の足元に向けて紫苑色の氷の弾丸を放つ。

すると地面に突き刺さった氷の弾丸を起点に
して紫苑色の氷の華がエルムの身体を包んで
首から上以外を凍結させたのだった。

此れは氷雪のギフトの特性“凍結”。

相手や物質を凍らせ、動きを止める特性だ。



「わぁ…すっご…綺麗な氷の華…革命軍幹部ルナ・オウスムーンの異名月華げっかのまんまだねぇ」


「随分と余裕だな。エルム少将」


「その呼び方きらーいっ。かわいくないんだもんっ、エルムちゃんって呼んでよ!」



頬を膨らましたエルムは足元に蒲公英色の
魔法陣を生成し地面から雪を吹き上がらせる
と紫苑色の氷の華は溶けて行く。

エルムは身体を伸ばしたり捻ったりして自身
の身体機能を確認すると微笑んだ。



「エルム少将と私は親しくは無いのでな。其れに帝国軍と革命軍の目的は完全に断絶されている…馴れ合う事は出来ないであろう」


「…みんな、そればっかり。だから戦うの?バッカみたい…帝国軍も革命軍も反乱軍もお口があって話せるんだよっ?戦いいがいにたのしいこと山程あるんだよっ?」



エルムが何の気に無しに発言した言葉にルナ
は反論の言葉を用意する事は出来なかった。

そして言葉を紡ぐ事が出来ないルナの目の前
でエルムの波動とギフトのチカラが急上昇を
始めると足元に再び魔法陣が描かれる。



「いつかみんなで輪になって手つなげたらさ…ドキドキするぐらいの平和が来ると思うのに…」


「此れが…帝国軍少将魔道士まどうしエルム・ミュリアル…」


「氷雪覚醒っ泡雪魔導スノーソーサーっ!!」



エルムの服装が白と黒の氷と雪のドレスへと
変化を遂げて行き、首周りに長い蒲公英色の
マフラーが巻かれて行く。

帽子も氷のペンギンを模したかの様に変化を
して行き顔に雪と氷のペイントが施された。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】  竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。  竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。  だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。 ──ある日、スオウに番が現れるまでは。 全8話。 ※他サイトで同時公開しています。 ※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

必要なくなったと婚約破棄された聖女は、召喚されて元婚約者たちに仕返ししました

珠宮さくら
ファンタジー
派遣聖女として、ぞんざいに扱われてきたネリネだが、新しい聖女が見つかったとして、婚約者だったスカリ王子から必要ないと追い出されて喜んで帰国しようとした。 だが、ネリネは別の世界に聖女として召喚されてしまう。そこでは今までのぞんざいさの真逆な対応をされて、心が荒んでいた彼女は感激して滅びさせまいと奮闘する。 亀裂の先が、あの国と繋がっていることがわかり、元婚約者たちとぞんざいに扱ってきた国に仕返しをしつつ、ネリネは聖女として力を振るって世界を救うことになる。 ※全5話。予約投稿済。

処理中です...