RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦

不可思議な因縁

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デュークの手に握られた特殊な形状の槍
に対抗してバレットが腰に据えていた刀を
其の手に握ると其の刀もまた珍しい形の武器
である事が一目で解る。

其の武器とは刀身が互い違いの六本の枝を
持つ得意な形状の鉄剣“七支刀”である。

其の刀をデュークに突き付けたバレットは
何やらニヤリと笑みを浮かべて口を開く。



「何や武器もお互い珍しい…君と僕にはなあ、更なる因縁もあるんや。知っとる?君は…」


「因縁…?」


「知らんみたいやなあ。一つ聞いて行って貰おか…。君はあのオースティン家の末裔なんやろ?」



バレットが放つ言葉にデュークはほんの一瞬
ピクリと表情を崩したが直ぐに普段の表情に
緩りと戻って行く。



「其れがどうかしたか?」


「君のおとん…。反逆罪で殺されてもうたやろ?アレ裁いたのは僕の父親なんやわぁ」


「………ッ!」



バレットの発言にデュークの槍を握る手に
一際力が込もっているのが良く解る。

バレットの父親は五年前迄、帝国軍に於いて
中将を任されていた強者であった。

現在は引退をした様だが、鎖国政策に因って
家系の廃れに発展してしまったオースティン
家を変えようと必死に奔走したデュークの
父親を当時、裁いたのが目の前に立ち塞がる
中将バレット・ワグナーの父である。



「なんや、因縁を感じてまうやろ?せやけど、僕を責めるのはやめとくれやっしゃ?親子言うても僕には何の罪もあらへんのやさかいなあ…」



不敵な笑みを浮かべるバレットの表情を見た
デュークは此れはバレットからの解りやすい
挑発であると直ぐに理解をし始める。

そしてふうと一息吐くと、また緩りと集中を
高めながら一度入り過ぎた手のひらの力を
解きほぐす様に抜いて行った。



「何処の誰が父の敵であろうと無かろうと…私の念願は唯一つ…。再びオースティン家の船に掲げられた家紋の旗が此の広い海を多くの希望を乗せて進む事だけなのだ」


「…こないな挑発には乗らへんってワケか…。本当難儀やわぁ…まあ、ええやろ」



眼鏡の奥で一度瞳を閉じたバレットは緩りと
言葉の締めと共に目を見開くと流水のギフト
の水色のオーラを身体に纏わせる。

其れに対抗してデュークは自身の宿している
深碧色の鉄鏡のギフトのオーラを纏う。



「亡き父にまた夢見がちだと言われぬ為にも私は己の宿願の為に此度の作戦を遂行して参る…いざ勝負だ。鮫弾こうだんバレット・ワグナー…ッ!!」



円錐状の槍の先端をバレットに突き付ける様
に構えたデュークが一気に地面を蹴る。



「何や意外と言葉は熱いんやなあ。そやけど熱いのはあんまし好きやないねん…。退場しなはれ…幻騎士げんきしデューク・オースティン…!」



デュークの突きを七支刀の互い違いの枝刃の
隙間で減速させつつ弾き上げたバレットの
回し蹴りがデュークの腹部を襲った。
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