RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第六篇第二章 港町に集う者達

ナンパ男の正体

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おそらく腹を空かしているだろうロード達を
思いやりシャーレとポアラは二人揃って共に
お店を周りながら喜ぶだろう食事を探す。

そして大体を買い揃えたシャーレとポアラは
皆が待つベリッシモ・パレス・ホテルへの
帰路へと着いて行く事となる。

そんな帰路の途中に何かに気が付いた
シャーレが突然に其の歩みを止める。



「どうしたのっ?シャーレ。何か買い忘れたっけ?」


「い、いや。そうじゃない…」



シャーレが思い返す様にしていたのはポアラ
に声を掛けてきたあのチャラいナンパ男。

正直、シャーレは何処かで見た事があると
考えて居たのだがポアラの事で頭が一杯
だった為に、あの時は其処まで頭が回らず
見逃してしまっていたのだ。

そして、間違い無いと確信を強める。



「もう一つの意味で早く戻ろう。ポアラ…済まないが後ろに気を配っておいてくれ。尾行をされたりしない様に…」


「え、どういう事っ?」


「先程のナンパ男。反乱軍の幹部に間違い無い…。シェリーの居る此処で現れたのは偶然では無いと感じるのが普通だろう…」


「反乱軍…?接触してきたのもワザとだったのかな…」



ポアラは後ろをちょこちょこと確認しながら
先程のナンパ男や不穏な動きが無い事を随時
確認しながら二人はやっとの思いでホテルの
一室に戻ると此の事をロード達に伝える。

ロード達は風の街と状況が類似して来た今回
のバルモア本国の貨物船警護及びシェリーに
対しての謁見希望者との会合を守る事。

二つの目的を達成する為に今回も革命軍側で
其の力を振るう事となった。



「大丈夫だ…シェリー。俺達が護るし…シェリーもすげぇ力手に入れたばっかりなんだからな…!」


「は、はいっ!」



食事を摂りながらロードとシェリーが会話を
交わしながら笑顔を見せていた。

食事が終わるとシェリーとポアラは隣の部屋
へと手を繋いで仲の良さそうに帰って行く。

此れだけ見れば何故両国は敵対しているのか
殆ど忘れてしまうぐらいに不思議に感じる。

ロードは此の夜、外の空気を吸おうとホテル
を一度出ると海辺側に向かって歩いて行く。

他よりもほんの少し高く成る丘の上から
静かに波が音を立てる夜の海を眺めようと
ロードはふらりと其の丘を登って行く。



「アレ?アンタは…」


「君か。君も海を眺めに来たのか?」



丘の上で風に揺られながら海を眺めて居た
のは革命軍の使者として夕刻ロード達の元に
訪れていたデュークであった。

デュークは何か寂しげに海に向き直ると
真っ直ぐ静かに揺蕩う其の海を眺める。



「まあ、特に理由は無いんだけどさ。アンタは海が好きなのか?」


「ああ。好きだよ…とても優雅だろう?海と言うのは」


「優雅とかはわかんねぇけど。まあ…落ち着くよな」



ロードはデュークの横に立つと同じ様に
広々とした海に其の目を向ける。


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