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第六篇第二章 港町に集う者達
気恥ずかしさが残るペア
しおりを挟むそう、つまり纏めて行くとノアからのロード
達への依頼というのは謁見希望者を待つ形と
なるシェリーの護衛という事だった。
まるで機械の様に表情の変化すら無く説明を
終えたデュークの言葉にロードは追い付いて
は居なかったが隣のレザノフから補足を貰い
ながら何とか其の事を理解したのだ。
「へへっ…何だ。そんな事なら任せとけって…改めてよろしくな…?えっと…」
「…デュークだ。呼び捨てで構わない。此方も其の様に呼ばせて貰うからな」
「おう、頼むぜ。デューク」
やる事は明確に定まり、デュークは其の場で
立ち上がると今度は深くお辞儀をしてホテル
の部屋から緩りと出て行く。
其の背中を見送るとロードは風の街ヴェント
のロジャーズグリフにあった革命軍のアジト
でのアレンとの瞬間的な対立を思い返す。
ロードは不明確ながら革命軍から外部へと
情報を漏らしている、内通者が居るとして
其れが既に出逢った誰かで無い事を祈る。
ロードの性格上、そんな哀しい事実は
知りたくも聞きたくも無いであろう。
ロードにとってはアレンとのいざこざの場に
居て其れを明確に耳にしたのは自分だけ。
もしかすると誰かから聞いている可能性が
無いとは限らないが解るはずも無い為に
ロードは誰かに明かす事も無く黙り込んだ。
「そだっ。外だとシェリーちゃんの事でまた…何かあると危ないからさ…ご飯買ってきてみんなでお部屋で食べよっ」
「いいですねぇ。ルームサービスも有りですが…。目で見て選ぶのもいいでしょう」
「レザノフさんは、まだ休んでたらどうだ?移動も長かったし覚醒の疲れも抜けてねぇんだろ?」
「…では。御言葉に甘えるとしましょうか」
「…はわわっ…その話の流れだとわたしは留守番ですよねっ…残念ですっ…」
肩を落としたシェリーを見てロードが其の肩
に手を置いて口を開いて行く。
「俺も残っからよ…。久々になんかしようぜ?」
「ロード様ぁ…。嬉しいですっ…!」
「あ、でも…ポアラも病み上がりだよな…。流石にマズイか…」
「平気だよっ。休んでた分、少しは何かさせてっ?」
笑顔でグッと両方の拳を上げたポアラを見て
「それなら」と声を漏らしたロードは次に隣
のシャーレに向けて声を掛けて行く。
「シャーレ…悪いんだけどよ…。頼んでいいか?」
「ああ…。任せろ…ポアラと二人で行ってくるよ」
そう言って振り返ろうとしたシャーレと同じ
様に背を向けようとしたポアラの二人が同時
に固まって動かなくなる。
「(二人きり……ちょっと何でドキドキすんのよっ…アレがあったからだ…うぅ…髪型とか大丈夫だよね…)」
「(…しまった。当たり前の様に返事をしたが二人きりは…少しまだ気恥ずかしさが…)」
二人は何やら一度顔を見合わせた後は何故か
顔を逸らしてドギマギした雰囲気を醸し出し
ながら無言で、足早に買い出しへと出た。
ロードとシェリーは並んで首を傾げていたが
レザノフだけは大人の微笑みを浮かべた。
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