RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第六篇第二章 港町に集う者達

ラヴェンダの港で起こる事

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独立師団革命軍幹部デューク・オースティン
の顔立ちは彫りが深く、まるで彫刻画の人物
がそのまま此方側へ飛び出して来た様な風貌
であり、其の深い瞳に吸い込まれそうな錯覚
を起こす空気感も持ち合わせている。

レザノフに負けず劣らない気品がある。

そんな出立ちのデュークは言葉を続ける。



「本来なら私達革命軍の参謀であり大幹部…フロウが此方へ向かう手筈だったが少々…トラブルがあり私が代理で参った。人も増えている事だ。今回の目的を説明する」



今回此の水の街アリアアクアにある港町の
ラヴェンダへと訪れた理由は一つだ。

シェリー達の母国バルモアから物資等が
乗せられた貨物船が此のプレジアへと来る。

かつては世界との貿易の窓口として最大の
規模を誇ったラヴェンダが抱える元貿易港
“ジェノスハーバー”を目指してである。

現在では鎖国政策が行われている以上、世界
との貿易は勿論、禁止されては居るのだが
ジェノスハーバーは今も多くの船を抱える。

其れは漁船の送迎の為である。

だからこそ、港としての運行が今も行われて
いる此のジェノスハーバーという港を目指し
今、バルモアの貨物船がプレジアへと海の上
を進んで来ている訳だ。

だが、当たり前だが此処で問題が発生する。

革命軍に出し抜かれる形でバルモア王家
ノスタルジアのシェリー姫を此のプレジア
へと黙って招き入れてしまった政府なのだが
またしても何も無策でバルモアの貨物船を
港へと入港させる訳には行かない。

船の到着を阻止しに来るだろう。

だが、船との海戦を行いバルモアの貨物船を
そのまま海に沈める訳には行かない。

政府にとっては戦争を回避させた上で着港を
させない事が至上命題となるのだ。



「つまり…。戦いがまた行われるという訳だ…。其処に君達の力も借りたいと私達のトップであるノアからも伝言を預かっている」


「それは全然構わねぇんだけどよ…。行われるって…まるで絶対起こるみてぇな言い方だよな…」



ロードの疑問は至極真っ当である。

だが、革命軍には頭の痛い問題があるのを
ロードは其処で思い出す事となる。



「……革命軍の第一陣がラヴェンダへと入ってから帝国軍第十四支部に腕利きの将官たちが集まって居る…。やはり今回も情報が漏れて居るのであろう…」



風の街ヴェントのロジャーズグリフでも
そうだったのだが、やはり外部と繋がる
内通者の存在がネックとなっている。



「だからと言って焦る事は無い。作戦は通常通り遂行する…本来ならば姫を呼ぶのは危険だったのだが今回はバルモア国より謁見希望者が居る関係で此方迄出向いて貰った形だ」



革命軍は帝国軍を相手に貨物船から物資の
調達を図り、シェリーはバルモア本国からの
謁見希望者を待つ形となった。
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