211 / 882
第六篇第二章 港町に集う者達
水の街の最高峰
しおりを挟む緩り緩りと歩みを進めるシェリーとレザノフ
の後ろを何だかフワフワした足取りのポアラ
と多少咳払いをして誤魔化すシャーレが追う
がロードは完全に立ち止まったまま。
其れに気付いたシェリーが振り返ると首を
傾げてロードに向かって声を掛ける。
「どうかしました?ロード様っ」
「………いや。ここなのか?今日泊まんの」
「はいっ。革命軍の方からはここだと聞いてますっ。何か不都合でも?」
ロードは軽く息を吐いてから俯くと一気に
息を吸い上げ其のホテルを指差して叫ぶ。
「いやッ、絶対ェに高ぇだろッ!!このホテルッ!!俺等の手持ちじゃ足んねぇっての…ッ!!」
「其処は御心配無く、ロード殿。革命軍が持ってくれるみたいですから」
ロードに対するレザノフの返答に何故だか
シャーレとポアラが胸を撫で下ろす。
「(や、やっぱり…そう思うよねっ…?誰も何も言わないから…言い出せなかったけど…)」
「(今回に限ってはロードの真っ直ぐな性格は強運だった…御金?足りる訳が無いであろう…こんなホテル…)」
シャーレとポアラはドキドキしていた心を
落ち着かせ様と揃って息を吐いた。
「つかよ…やっぱりシェリーはお姫様なんだなあ…こんな高そうなホテル見ても何にも慌てやしねぇ…ちゃんとした王族ってのはそういうモンなのか?」
「さあ…余り考えた事が無くてスミマセン…」
「ねぇねぇ。因みになんだけど…シェリーちゃんのバルモアのお家ってこのホテルと比べたら…もっと大きいの?」
「…そうですね…。このホテルと比べたら約十二倍程の敷地でしょうか?」
ロード達の目の前に聳えるのは六階建と高さ
は其れ程なのかもしれないがとても横に長く
庭にプール、テラス、テニスコート等が潤沢
に施設として備えられた大きなホテル。
其の十二倍とは、もはや意味が解らない。
ロード達は考えるのを諦めた様に笑う。
というか、笑うしか無かったのだ。
シェリーもシェリーで何故周りが笑ったのか
気付いておらず、不思議そうに首を傾げた。
「…これぐらい普通なのか…。シェリーみたいに…ちゃんと王族として生きて来たヤツは…」
誰の耳にも届かない程度の声で呟いたロード
は安堵の表情でシェリーとレザノフの背中を
追い掛けるシャーレとポアラを更に追う。
今夜は目の前に聳える水の街アリアアクアの
港町ラヴェンダが誇るアリアアクアの中でも
最大級のベリッシモ・パレス・ホテルでの
宿泊となり、足を踏み入れて行く。
フロントで部屋のキーを受け取ったレザノフ
は一つのキーをシェリーに渡すと女性と男性
で二つの部屋に別れる事となった。
元々広々とした部屋を取っていた事もあり
ロード達三人を追加しても男女に別ければ
泊まる事は容易という事だったが、ロードは
部屋に入り驚愕の表情を浮かべた。
70
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる