RISING 〜夜明けの唄〜

第五編第三章 溢れる涙は光と成りて

鋼の銃士

レザノフの身体に鈍色の鉄鏡のギフトが包含
する様に纏われて行くと身体が西洋甲冑の様
に鋼でコーティングされ、腕はアルマジロの
背の様に堅固な防具と成り代わると二丁拳銃
の銃身が伸びスコープ付きのライフルの様に
変化を遂げて行くのだった。



「…アレが…レザノフさんの覚醒の姿…男の子が好きそうっ、何かロボットみたいでっ」


「バルモアでも…男の兵隊さん達に人気が高いらしいですよっ？」


「此の二人も心無しか目がキラキラしてるもんねぇ…」



レザノフの其の覚醒のロボットの様な姿に
目を輝かせるロードとシャーレの真後ろで
女性二人は男って不思議と笑っていた。

だが、先程迄は目の前のリゼアの圧力で
笑う事以前に目を逸らす事、瞬きすらも
制限されていた彼等が今言葉を交わして
居る事の本質はレザノフの力が大きい。

ロード達若い人間達に於いてレザノフの大人
な性格というのは非常に大きく作用しており
其のレザノフの覚醒に因って心の何処かでは
四人全員ともほんの少しずつ安心感が心の中
で拡大しつつあるのだ。

きっと、レザノフならやってくれる。

そんな想いでレザノフの背を見つめていた。

そして、レザノフは口を開く。



「鉄鏡覚醒…“装鋼銃士スティールガンナー”…」



レザノフの覚醒を目の当たりにしたリゼアは
一気に地面を蹴り上げると大地を振動させ
ながらレザノフとの間合いを詰めて行く。

だが、レザノフは地面に硬化の特性を更に
付与して振動すらも硬めてしまった。

リゼアの鉞の攻撃がレザノフを襲う。

此方も腕の防具で軽々と防御すると逆から
レザノフの脇腹へと襲い掛かるもう一本の
鉞もライフルと化した銃で防ぎ鉞の刀身に
弾丸を撃ち込んで地面へと撃ち落とす。

其の破壊力に鉞を手放しそうになったリゼア
だったが何とか其れに耐えて、距離を取る。



「今度は貴方が逃げ腰になる番ですか？リゼア・ゴードトプス…」



ずっと攻勢のみだったリゼアが距離を取った
事でレザノフが珍しく挑発する様に言い放つ
言葉にリゼアは怒りが込み上げる。



「ほざけ…」



挑発に乗ったリゼアは荒々しく鉞を振り回す
とレザノフへと攻め込んで行く。

鉞二本に頭の三本の角。

覚醒に因って付与された攻撃力は圧倒的で
打ち込みに成功するとリゼアはレザノフの
身体に振動のチカラを捩じ込もうとするの
だが全てレザノフの硬化を極めた覚醒の姿に
無へと還されてしまうのであった。

護るという使命を体現するかの如くに天から
与えられ極めた其の鋼の銃士の姿が見せる
鉄壁の防御力こそ、レザノフの真骨頂。



「正に装鋼銃士スティールガンナーは攻防一体、バランスの取れた覚醒と呼べます…貴方の様に此れから未来サキを築いて行く若き新芽達を踏み潰して進もうとする者は許し難いのです…」



距離を取ったレザノフがライフルの銃口を
リゼアに向けてスコープ越しに弾道の調整
をしながら、言葉を言い放って行く。