RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第五編第二章 立ち上がる若き新芽

とある食事処にて

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そして同時刻、始まりの街コミンチャーレに
あるリューグウという町のとある食事処に
シーンは切り替わって行くと其処には仕事用
の眼鏡を外してグッタリとカウンターに倒れ
込む一人のスーツの男の姿があった。



「こんなタイミングで…。本当に部下泣かせが過ぎますよ…U・J…」



カウンターに突っ伏した後、直ぐに顔を
上げておしぼりで顔を吹き上げた其の男の
目の前に定食が乗せられたお盆を片手に笑顔
を見せる女性が現れると其のお盆を手渡す。



「お疲れ様です、パイロさん!はいっ、カレイの煮付け定食、御待ち遠様です!」


「ああ。どうもありがとう…マオさん…」



カウンターで食事を受け取るパイロの疲れ
切った姿に食事処の若女将マオは心配そうな
表情を見せて声を掛けて来る。



「今日は特に疲れ切ってませんか…?パイロさん…」


「…ええ。昨日からU・Jと連絡が取れなくて進まなかった仕事があって…午前中も連絡が来ないので諦めて気分転換に外で食事を…と、出て来たら今になって…連絡が来まして…!」


「ああ、だから店前で大きな声を出してたんですね…」


「ええ…お恥ずかしい…」



仕事人間のパイロは今直ぐにでも戻って仕事
を再開しようかとも考えて居たのだが、其処
はやはりパイロも人間である、目の前に並ぶ
カレイの煮付けの匂い、見た目たるや空腹の
人間に我慢を強いる等無理な事であった。

パイロは黙ったまま頭の中で仕事とU・J
というワードを無理矢理にでも消し去り
大好物のカレイの煮付けに箸を伸ばして
頬をほくほくとさせながら食べ進める。

マオの店には良くU・Jが来る流れもあり
パイロや他の軍兵達も足繁く通っている。

余りお酒は飲まないパイロにとって昼過ぎに
マオの食事処でランチを食べるのがたまの
息抜きとなって居たのだった。



「…美味しい…。仕事のやる気も回復だ…」


「なら良かったです!」



笑顔を見せたマオにパイロはふとした疑問を
浮かべるとそのままストレートに口にする。



「はぁ…マオさんみたいな出来た方が…何故アレを好きになったのやら…」


「……ふぇ?」


「U・Jですよ…U・J…」


「…す、…好きって、な、な、な、何を言ってるんですかぁ、パイロさん…ッ!」



顔を真っ赤にして目が泳いでいるマオの反応
だと、其の反応一つで答えは訊かずとも解る
ので此れ以上は問い詰め無いがパイロにして
見れば予想外であったのだろう。

だが、U・Jは意外とモテる事も。

意外と女性には優しい事も。

意外と此処ぞと言う時は決める事もパイロは
全てU・Jの事を解っている。

解っては居るのだが、全てに意外とが付いた
事が示す通り、其れは全体の一割か二割で
後はほぼ全滅しているのがU・Jの特徴。

取り敢えず帰って来たら、説教はしてやろう
と笑みを浮かべて決意するパイロであった。


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