177 / 849
第五編第二章 立ち上がる若き新芽
ポアラの気掛かり
しおりを挟む「…ねぇ、U・J…」
正座から解放した三人からポアラはふいに
U・Jを手招きして小声で話し始める。
「どうした?ポアラちゃん…まだ怒られんのか?俺は」
「…いいから。マオちゃん、元気?」
「ん?ああ、良く店行くから会うんだが。元気だぜ?それがどうした」
「アンタ…マオちゃんにもこんなふざけたセクハラしてないわよね…?」
疑う様な目で睨み付けたポアラの目を見て
U・Jは腹を抱えて笑い始める。
「バカだな…ポアラちゃんは。俺は紳士なの…さっきのは作戦だってば」
「紳士はああいうのは思い付かないと思うんだけど…?」
「信用してくれって…。ポアラちゃんよ。マオちゃんとは仲良くやってるって」
此処で一つおさらい情報、ポアラの言う
マオとは始まりの街コミンチャーレの港町
リューグウで知り合った食事処を営むマオ。
ポアラはマオがあの当時にU・Jに少し心が
傾いている事を悟り度々心配していたのだ。
「(マオちゃん…相手が厄介過ぎるけど好きなら負けちゃダメだぞっ?なーんてね、えへへ…!)」
ポアラ・セルヴァンテス、二十一歳。
人の恋路が気になる乙女な女の子であった。
「何話してたんだ?ポアラ」
「ん?ああ…マオちゃんの事」
「元気にしているのかな、あの子は」
「うん、元気だって。実はU・Jに会ってから聞けず終いで気になってたんだ」
「なら安心したな、これで。ちょっと良い様に遊ばれちまったが…アイツの余裕顔、崩してやるとすっか…!」
三人は同時にU・Jに向けて視線を向ける。
其の視線の先では少しやり過ぎてしまったと
U・Jはシェリーとレザノフに謝っていた。
意外と律儀な男である。
そして再開しようとまた対面に立った四人は
改めて武器を構えるロード達にU・Jも少し
集中を高めて再戦に臨む。
「さて、どっからでもいいぜ?」
「遠慮無く行くぜッ…!」
「…やっぱりロードは突っ込むよね。真っ直ぐに…」
「ええ。私がロードをサポートしよう…ポアラはU・Jに出来る限りの重力を掛け続けながら隙を伺って欲しい…重力が掛かるなら私とロードのどちらかが攻める…仮に私達で隙が作れるなら…其の隙をポアラが突いてくれ…」
既に正面から突っ込んで行ったロードの背後
でシャーレはポアラに策を伝授し、ロードを
追ってU・Jに向かって走り出す。
「オッケー…よし。アタシも行くよっ」
作戦を頭に入れたポアラは出来る限りの大地
のギフトのチカラの特性である重力をU・J
に向かって掛けようと動きながら隙を探す。
シャーレは流水のギフトの特性“泡沫”を活用
し分身を作り上げ左右からU・Jを攻める。
作戦を知らない正面突破のロードは何度も
弾かれようとも刀を振るい続けて行く。
「段々、力強くなってんな。ロード君の攻撃は…!」
U・Jはシャーレの撹乱の動きを躱しながら
ロードの攻めをいとも簡単に捌き続ける。
70
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる