RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第五編第一章 反乱と革命の序章

反乱と革命の序章“輪舞曲”

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十五歳となった四人の少年少女。

歳としても孤児村ピースハウスの中では
年長組となった当時に舞台は切り替わる。

ノアは此の二年程前から海外について
興味を示し始めて居たのだが其の理由は
ザックから聞かされた両親達の活動だ。

ノアの両親は実は鎖国国家プレジアに於いて
革命運動に参加していた革命趣向の強い夫婦
であったと聞かされてからノアは度々職員の
書斎に潜り込んでは海外の本を探して読み
漁る毎日をひたすらに過ごしていた。

ノアにとっては広々と広がる世界は其の広大
さに合わせて大きな夢と希望を実感させる。

両親が見たがって居た景色をいつか自分の
目で見てみたいと考える様になっていた或る
日にノアはエルヴィスに其の本を見せる。



「ん?バルモア…?」


「うん。見てよエルヴィス此れ。凄く綺麗な湖じゃない?神秘的ってこういう事を言うんだろうなあ」



声を弾ませて話すノアの言葉にエルヴィスは
何かが引っ掛かった様に思案を巡らせる。

するとエルヴィスはバルモアという国名に
何かしら、消えかけていた記憶の心当たりを
探して今朝の新聞を慌てて開いた。

其処に書かれたとある見出しを見て突然に
エルヴィスの呼吸が乱れ始める。

バルモア兵による村落の民の皆殺し記事。

其れを睨み付ける様に息を乱れさせた
エルヴィスは頭を抱えて唸る様に呼吸を
しているとノアは心配そうに声を掛ける。



「どうしたの?エルヴィス…凄い汗だよ…」


「…はぁ…はぁ…はぁ…バルモア…バルモア…ぐっ…あああッ!!」



エルヴィスの脳裏に一つの映像が映される。

薄暗い倉庫、倒れ込む金髪の少女。

嫌な笑い声と共に吐き捨てられる罵詈雑言。

そして身体に纏われた金色の雷のオーラ。

天井を見上げて叫んだエルヴィスは突然に
平静を取り戻し荒れた息を整えて行く。

嫌に流れ出た汗すら乾いて行く程に何かを
思い出したエルヴィスの目付きが変わる。

エルヴィスの声に驚いて駆け付けたのは
当時三十二歳の職員ザックだった。

ザックは慌てて飛び込んで来た部屋の中で
きょろきょろと目線を泳がし新聞で目を止め
絶望した様な表情を浮かべ口を開く。



「エルヴィス…どうかしたかい…?」


「…ザックさん。俺ってもしかして…記憶失ってたか…?」



エルヴィスの言葉にザックの表情は更に
強張り肩を震わせ始めて行くとエルヴィスは
息を吐いてほんの少しの笑みを浮かべる。



「今此のバルモアって国の事件を新聞で見た途端に…嫌なモンが頭に流れ込んで来た…そうか。アレは俺の過去…思い出したぜ。全部…!」


「どうしたの?エルヴィス…人が変わったみたいだ…」


「ノア…悪い事は言わねぇ。其のバルモアって国は止めておけ…腐り切りイカれ狂ったクズ共の住む国だ…」



立ち上がり声を発したエルヴィスの表情を
見てザックは確信を深めて行く。

孤児村ピースハウスへとエルヴィスが来る事
となった事件を経てエルヴィスは部分的な
記憶障害に陥ってしまっていた。

其の記憶が呼び起こされてしまった。
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